銀座のホステスには、秘密がある
矢部ゆかりはたぶん殿よりも10歳くらい年上だと思う。
そんな人と殿は今付き合ってる。
ましてや結婚してる女優……
どんなに周りが上杉プロデューサーが矢部ゆかりの浮気相手だと言っても、アタシは信じることができなかった。
それは、そうあってほしくないってアタシが思ってるからだろうけど……
「サラ……」
メイクの途中で手が止まっていたらしい。
仕事前の最後の仕上げのメイクは中途半端。
今日はメイクのノリが悪い。
「何?樹里」
「手が止まってたよ。上杉様の事が気になるんでしょ?」
「そんなことない。もう終わったことよ」
そう。殿から逃げたのはアタシ自身。
今更どうこう言える立場にない。
「でも、上杉様は本当に矢部ゆかりに手を出したんでしょうか。ハナはどうしてもあの上杉様が不倫してるなんて信じられないんですけど……」
今日はお店も暇な曜日で、メイクルームに残ってる他の女の子もハナちゃんの言葉に頷いてる。
「男と女のことは当人たちにしか分からないものよ」
「上杉様。最近銀座にいらしてないみたいですよね」
「グリッターに行ってるって聞いたけど」
みんなの視線が彩乃に向く。
「そう・・・ですね。でも、それは、接待先の方がグリッターに行きたいっておっしゃってるんじゃないでしょうか」
彩乃はアタシの気持ちを知ってるから、殿がグリッターの結菜に心変りしたんだと考えてるらしい。
それでも、アタシを庇おうとしてくれてる。
「矢部ゆかりは、殿の・・・上杉様のタイプなのよ。上杉様は癒し系がお好きらしいから」
「じゃ、週刊誌に書いてあったみたいに、上杉様が矢部ゆかりに手を出したってことですか?」
「番組に出たかったら俺と一緒に来いって」
「あの上杉様が?枕営業を強要するかなぁ」
「ハナは信じません」
ガヤガヤとなるメイクルーム。
アタシだって嘘だと思いたいけど、矢部ゆかりは殿の好きな癒し系。
相手が結婚してるって分かってても、好きになってしまったのかもしれない。
「どうするんだろ。矢部ゆかりは旦那さんと別れて、上杉様と付き合うのかな?」
愛ちゃんのその言葉に答えたのは、出勤してきたばかりのママだった。
「あの女がそんなバカなことする訳ないでしょ!」
そんな人と殿は今付き合ってる。
ましてや結婚してる女優……
どんなに周りが上杉プロデューサーが矢部ゆかりの浮気相手だと言っても、アタシは信じることができなかった。
それは、そうあってほしくないってアタシが思ってるからだろうけど……
「サラ……」
メイクの途中で手が止まっていたらしい。
仕事前の最後の仕上げのメイクは中途半端。
今日はメイクのノリが悪い。
「何?樹里」
「手が止まってたよ。上杉様の事が気になるんでしょ?」
「そんなことない。もう終わったことよ」
そう。殿から逃げたのはアタシ自身。
今更どうこう言える立場にない。
「でも、上杉様は本当に矢部ゆかりに手を出したんでしょうか。ハナはどうしてもあの上杉様が不倫してるなんて信じられないんですけど……」
今日はお店も暇な曜日で、メイクルームに残ってる他の女の子もハナちゃんの言葉に頷いてる。
「男と女のことは当人たちにしか分からないものよ」
「上杉様。最近銀座にいらしてないみたいですよね」
「グリッターに行ってるって聞いたけど」
みんなの視線が彩乃に向く。
「そう・・・ですね。でも、それは、接待先の方がグリッターに行きたいっておっしゃってるんじゃないでしょうか」
彩乃はアタシの気持ちを知ってるから、殿がグリッターの結菜に心変りしたんだと考えてるらしい。
それでも、アタシを庇おうとしてくれてる。
「矢部ゆかりは、殿の・・・上杉様のタイプなのよ。上杉様は癒し系がお好きらしいから」
「じゃ、週刊誌に書いてあったみたいに、上杉様が矢部ゆかりに手を出したってことですか?」
「番組に出たかったら俺と一緒に来いって」
「あの上杉様が?枕営業を強要するかなぁ」
「ハナは信じません」
ガヤガヤとなるメイクルーム。
アタシだって嘘だと思いたいけど、矢部ゆかりは殿の好きな癒し系。
相手が結婚してるって分かってても、好きになってしまったのかもしれない。
「どうするんだろ。矢部ゆかりは旦那さんと別れて、上杉様と付き合うのかな?」
愛ちゃんのその言葉に答えたのは、出勤してきたばかりのママだった。
「あの女がそんなバカなことする訳ないでしょ!」