銀座のホステスには、秘密がある
比較的空いてる銀座をヒールで走った。
金曜日なら走れなかっただろうから、アタシはまだついてるのかもしれない。
まず向かったのは、クラブ グリッター。
5階建ての派手なビルの前で足を止め、一つ深呼吸をして、足を踏み出す。
見知らぬビルのエレベーターは居心地が悪い。
目当ての階で降りると、思っていたよりも静かで、お店はすぐに見つかった。
目の前の黒い扉を押す。
「すみませーん」
ドキドキ鳴る胸を押さえ薄暗い店内に声をかける。
「はーい」
面倒くさそうに男の声が答えた。
すぐに出てきたのはアタシよりも背が低い男。
「あ…」
アタシを見て驚いた顔をしてる。
「ごめんなさい。ちょっと教えてほしいことがあって」
「なんすか?」
眉間にシワを寄せて訝しがる男に、アタシはニッコリと微笑んだ。
「せっかくのお顔が台無しじゃない。アタシにそんな顔やめて」
微笑を引き、寂しげにお願いすると、
「あ…いや……そんなつもりじゃ……」
男はアタシから視線を逸らせた。
「ねぇ。結菜さんいらっしゃる?」
「結菜ですか?結菜がなにか?」
「この前お会いしたときに…借りたの。お金を。そう。それを返そうと……」
ネタは用意しておくんだった。
嘘ってバレタかもしれないって思った時、
「あぁ。そうなんっすね。結菜はアフタ―に行きました」
「誰と?」
あまりにもがっついて聞いてしまうと、男はまた不思議そうな顔をした。
「ごめんなさい。どこに?って聞こうとしたの」
「あぁ。そうなんっすね」
「うふふ」
冷汗が出る。
「今日は……あぁ、寿司屋って言ってたかな」
「どこの?」
「さぁ。そこまでは……」
首を傾げる男を見た瞬間、踵を返していた。
「ごめんなさいね。ありがとう」
最後は叫ぶように言うと、もう一度見知らぬエレベーターに乗り銀座の街に戻った。
金曜日なら走れなかっただろうから、アタシはまだついてるのかもしれない。
まず向かったのは、クラブ グリッター。
5階建ての派手なビルの前で足を止め、一つ深呼吸をして、足を踏み出す。
見知らぬビルのエレベーターは居心地が悪い。
目当ての階で降りると、思っていたよりも静かで、お店はすぐに見つかった。
目の前の黒い扉を押す。
「すみませーん」
ドキドキ鳴る胸を押さえ薄暗い店内に声をかける。
「はーい」
面倒くさそうに男の声が答えた。
すぐに出てきたのはアタシよりも背が低い男。
「あ…」
アタシを見て驚いた顔をしてる。
「ごめんなさい。ちょっと教えてほしいことがあって」
「なんすか?」
眉間にシワを寄せて訝しがる男に、アタシはニッコリと微笑んだ。
「せっかくのお顔が台無しじゃない。アタシにそんな顔やめて」
微笑を引き、寂しげにお願いすると、
「あ…いや……そんなつもりじゃ……」
男はアタシから視線を逸らせた。
「ねぇ。結菜さんいらっしゃる?」
「結菜ですか?結菜がなにか?」
「この前お会いしたときに…借りたの。お金を。そう。それを返そうと……」
ネタは用意しておくんだった。
嘘ってバレタかもしれないって思った時、
「あぁ。そうなんっすね。結菜はアフタ―に行きました」
「誰と?」
あまりにもがっついて聞いてしまうと、男はまた不思議そうな顔をした。
「ごめんなさい。どこに?って聞こうとしたの」
「あぁ。そうなんっすね」
「うふふ」
冷汗が出る。
「今日は……あぁ、寿司屋って言ってたかな」
「どこの?」
「さぁ。そこまでは……」
首を傾げる男を見た瞬間、踵を返していた。
「ごめんなさいね。ありがとう」
最後は叫ぶように言うと、もう一度見知らぬエレベーターに乗り銀座の街に戻った。