銀座のホステスには、秘密がある
「いらっしゃいサラちゃん。久原様も一緒かい?」

いつもの大将に迎えられる。

「こんばんは。今日は人を探してて。中を見てもいい?」
「構わないけど、もう客は数人しかいねーよ」
「そっか……」

結菜は帰ってしまったのかもしれない。

俯いたアタシの耳に聞こえてきたのは、
「ゆうちゃーん。まだ帰りたくなーい」
甘えたあの声。

奥の座敷に男と腕を組んで座っているのは、グリッターの結菜だった。

隣に座っているのは、見知らぬ若い男。

殿じゃない。

でもどこかで見たことある顔。

ジッと見ていたら、結菜と目が合った。

サッと逸らされた視線。
それでも負けずに見ていた。

「結菜。ちょっとメイク直してくる」
結菜は根負けして、お手洗いに向かう。
その後ろをそっと追った。
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