銀座のホステスには、秘密がある
クラブ モンテカルロのテーブルはそろそろ満席になりそう。
女の子もフル稼働といったところ。
そこにひと際艶やかな着物姿の美女が登場した。

あかねママのお決まりの登場パターン。
この人は自分の魅せ方を良く知っている。

「まぁ。早坂様いらっしゃいませ。そちらの素敵な殿方は?」
各テーブルをチーママと一緒に回っていく。

あれ?
入口に美容室で見たオレンジ色のドレスの娘がいる。

「まぁ。加藤様いらっしゃいませ。お仕事の調子はいかがでございますか?」

カウンターにママが来た。
綺麗に結い上げた髪には品の良いかんざし。
着物は軽く100万はする薄桃色の訪問着。
小さめの扇子を帯に挟んで、今日は特別なお客様なのかもしれない。

「ここはいい。本音で話せる。だけど俺の職場はダメだ。本音を言うとすぐ足元をすくわれる」
「ここにいらっしゃる間は、ゆっくり癒されてくださいな」

大きめのパールの指輪をはめたママの手が、加藤様に触れて離れていった。

「サラちゃん、ちょっと。加藤様、サラをちょっとお借りしますね」
「ママ。あんまりサラをこき使うなよ」
「はい。分かっております」

アタシが席を離れると代わりにそこに座ったのはあかねママと一緒にお席を回ってたチーママ。
ふくよかな体形に金色の髪。名前はローラ。
もちろん純日本人で日本顔。

ローラママはとにかく礼儀作法に厳しい。

バックに行くのかと思っていたら、入口に立ってるオレンジ色の娘の方へ行ってるママ。

もしかして……
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