銀座のホステスには、秘密がある
「上杉さん。矢部ゆかりさんとはどんな関係なんですか?」
「道を開けてください」
「上杉さん。今までどこに隠れてたんですか?」
「押さないでください」
「上杉さん。なんとか言ったらどうなんですか」
「通してください」
「世間を騒がせておきながら、ご自分は堂々と銀座で女遊びですか」
「やめてください」
「上杉プロデューサー。あなたも業界人ならこの責任どう取るつもりなんですうか?」
すごい。
たくさんのフラッシュの中、報道陣と女の子たちがもみくちゃのぐちゃぐちゃに入り混じってて……
もういいよ。ハナちゃん、そんなに頑張って押しても、相手はびくともしないよ。
みんなもそんなに叫んだら、声かれちゃうよ。
「どうなんですか。上杉さん」
「その女の人が本命なんですか?」
「はいはい。それくらいにしてくださいね」
「矢部さんもあなたの愛人たちの一人なんですか?」
あかねママが睨んでいるけど、その攻防は全く進まず、アタシはお店の玄関口からほとんど動けなかった。
「おやめなさい!」
その時、地を這うようなだみ声が響き、一瞬シンとなったこの場に、
「銀座にカメラ持ち込むなんて、そんな無粋な事いつから許されるようになったの!」
怒鳴り声と同時に現れたのは、龍太郎ママ率いるクラブ龍太郎のみんなだった。
「はいはいどいて頂戴ね」
可愛い声を出すキャリーちゃんも、ハナちゃんがどれだけ押しても全く動かなかったカメラマンを片手でどかした。
次々と人が動いて、今は一本の線が見える。
すかさずアタシはその中に飛び込んだ。
「あっ。上杉さん。待ってくださいよ」
「話してくれるくらいいいでしょ!」
報道陣とモンテカルロの女の子たちと、助けに来てくれたクラブ龍太郎のみんなが入り混じる中を、さっきとは比べ物にならないくらいもみくちゃにされながら懸命に進む。
この中を殿を通らせなくて良かった。
殿は無事に逃げられただろうか。
服を掴まれ上着がはだけ、一歩進むたびに違う方向からの質問が起きる。
「なんとか言ったらどうなんだんだよ」
アタシのサングラスが飛ばされた。
「このまま逃げるつもりなんですか?」
「上杉さん。略奪愛ですか?」
「矢部ゆかりより銀座の女の方が大事なんですか?」
その声に流し目で反応すると、
「え?だれ?」
「上杉さん?」
「違う?」
「おい誰だ」
バレてしまった。
「道を開けてください」
「上杉さん。今までどこに隠れてたんですか?」
「押さないでください」
「上杉さん。なんとか言ったらどうなんですか」
「通してください」
「世間を騒がせておきながら、ご自分は堂々と銀座で女遊びですか」
「やめてください」
「上杉プロデューサー。あなたも業界人ならこの責任どう取るつもりなんですうか?」
すごい。
たくさんのフラッシュの中、報道陣と女の子たちがもみくちゃのぐちゃぐちゃに入り混じってて……
もういいよ。ハナちゃん、そんなに頑張って押しても、相手はびくともしないよ。
みんなもそんなに叫んだら、声かれちゃうよ。
「どうなんですか。上杉さん」
「その女の人が本命なんですか?」
「はいはい。それくらいにしてくださいね」
「矢部さんもあなたの愛人たちの一人なんですか?」
あかねママが睨んでいるけど、その攻防は全く進まず、アタシはお店の玄関口からほとんど動けなかった。
「おやめなさい!」
その時、地を這うようなだみ声が響き、一瞬シンとなったこの場に、
「銀座にカメラ持ち込むなんて、そんな無粋な事いつから許されるようになったの!」
怒鳴り声と同時に現れたのは、龍太郎ママ率いるクラブ龍太郎のみんなだった。
「はいはいどいて頂戴ね」
可愛い声を出すキャリーちゃんも、ハナちゃんがどれだけ押しても全く動かなかったカメラマンを片手でどかした。
次々と人が動いて、今は一本の線が見える。
すかさずアタシはその中に飛び込んだ。
「あっ。上杉さん。待ってくださいよ」
「話してくれるくらいいいでしょ!」
報道陣とモンテカルロの女の子たちと、助けに来てくれたクラブ龍太郎のみんなが入り混じる中を、さっきとは比べ物にならないくらいもみくちゃにされながら懸命に進む。
この中を殿を通らせなくて良かった。
殿は無事に逃げられただろうか。
服を掴まれ上着がはだけ、一歩進むたびに違う方向からの質問が起きる。
「なんとか言ったらどうなんだんだよ」
アタシのサングラスが飛ばされた。
「このまま逃げるつもりなんですか?」
「上杉さん。略奪愛ですか?」
「矢部ゆかりより銀座の女の方が大事なんですか?」
その声に流し目で反応すると、
「え?だれ?」
「上杉さん?」
「違う?」
「おい誰だ」
バレてしまった。