銀座のホステスには、秘密がある
「上杉じゃないのか?」
「上杉はどこだ?」
「どこに隠した!」
押し退けられるハナちゃん。
髪も乱されたあかねママ。
他の女の子もあんなに綺麗に着飾ってたのに、崩されて、
殿は悪いことしてないのに、この言われ方。
アタシの我慢も限界だった。
マスクを取り去り、殿風に纏められた髪をサッと後ろに流すと、着てた上着を脱ぐ。
「騒ぐんじゃねーよ」
そんなにマスコミが偉いのか。
これじゃただのイジメじゃない!
そんな気持ちで発した一言だったのに、意外にもギャラリーから黄色い声援が起きた。
「あの人だれ?」
「キャーかっこいい」
「芸能人?」
さっきとは違うところからシャッター音が聞える。
「どけよ」
アタシの前に道がサッと開く。
「上杉はどこだ?」
「本物はどこにいる」
一瞬できたその隙間を縫うように歩くアタシにまだそんな声が聞えてくる。
お構いなしに報道陣の厚い壁を抜けると、今度は野次馬たちが待っていた。
「だれだれ?」
「きゃー、こっち見た」
「あたしの方見た」
黄色い悲鳴は聞いてて嬉しい。
嬉しいとアタシは調子に乗ってしまう。
みんなが求めるなら今だけはイケメンを演じてあげる。
「サラ?」
「あの人、モンテカルロのサラじゃない?」
凍り付くような言葉が聞こえた。
反応しちゃいけないって思うのに身体が動かない。
ギギって音がするくらい無理やり足を動かすけど、
「やっぱりそうだよ。サラだよ。えー。男だったの?」
その声は完全にアタシの息を止めた。
「上杉はどこだ?」
「どこに隠した!」
押し退けられるハナちゃん。
髪も乱されたあかねママ。
他の女の子もあんなに綺麗に着飾ってたのに、崩されて、
殿は悪いことしてないのに、この言われ方。
アタシの我慢も限界だった。
マスクを取り去り、殿風に纏められた髪をサッと後ろに流すと、着てた上着を脱ぐ。
「騒ぐんじゃねーよ」
そんなにマスコミが偉いのか。
これじゃただのイジメじゃない!
そんな気持ちで発した一言だったのに、意外にもギャラリーから黄色い声援が起きた。
「あの人だれ?」
「キャーかっこいい」
「芸能人?」
さっきとは違うところからシャッター音が聞える。
「どけよ」
アタシの前に道がサッと開く。
「上杉はどこだ?」
「本物はどこにいる」
一瞬できたその隙間を縫うように歩くアタシにまだそんな声が聞えてくる。
お構いなしに報道陣の厚い壁を抜けると、今度は野次馬たちが待っていた。
「だれだれ?」
「きゃー、こっち見た」
「あたしの方見た」
黄色い悲鳴は聞いてて嬉しい。
嬉しいとアタシは調子に乗ってしまう。
みんなが求めるなら今だけはイケメンを演じてあげる。
「サラ?」
「あの人、モンテカルロのサラじゃない?」
凍り付くような言葉が聞こえた。
反応しちゃいけないって思うのに身体が動かない。
ギギって音がするくらい無理やり足を動かすけど、
「やっぱりそうだよ。サラだよ。えー。男だったの?」
その声は完全にアタシの息を止めた。