銀座のホステスには、秘密がある
殿を助けたことは後悔していない。
だけどアタシの素性が知れて噂が広まるのは早かった。

実家に帰ると言う殿を見送り、週末を家でジッとしていたけど、週が明けるとママからの電話が鳴った。

「サラ。言いにくいことなんだけど、あなたが男だってバレてしまってるみたい。こっちも混乱してるから、今日明日はお休みしてもらえる?」

ついに恐れていた事態になった。

みんなにも、お客様にも、嘘をついて裏切ってきた罰なんだろう。

がっくりと膝から力が抜ける。

アタシがこれまで積み上げてきたものが、一瞬でなくなったと気付いた。

お得意様の顔が目に浮かぶ。
可愛がってくれたお客様の声がする。

みんながアタシを非難してる。

誰のせいでもない。それは自分で蒔いた種。

いつかこうなることを分かってた気がする。
いつか男だとバレて仕事ができなくなる日がくるんじゃないかって……


それからアタシは出勤しなくなった。
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