銀座のホステスには、秘密がある
その日、郵便受けに一通の手紙が入っていた。
あて先は、サラ様。
差出人は、何も書いてない。

でも封書から微かに香水の香りがする。

これは、あかねママの香水の香り。

アタシが電話に出ないから、彩乃に持たせたのかもしれない。

恐る恐る中から便箋を取り出すと、綺麗なあかねママの文字が並んでた。

『サラ。元気ですか?
あの日、みんなで協力しあって上杉様を助けたのは楽しかったわね。
あの女に一矢報いたと思うと、気分が良いです。
だけど、ここにサラがいないのが悲しい。
どうしたの?
みんなあなたが仕事に復帰するのを待ってるから、
いつでも遠慮なく戻っていらっしゃい。
その後のことはその時に考えましょう』

そんな内容だった。

今更、アタシがお店に戻れる訳ないのに……
ママはアタシが男だって忘れてるんじゃないだろうか。

それともまだ嘘をついて女だと言い張るつもりなんだろうか。
そんなことできる訳ない。

手紙をクシャリと握りつぶした。

もう、どうしようもない。
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