銀座のホステスには、秘密がある
備え付けのグラスにワインを少しだけ注ぎ、窓辺に向かった。

厚手のカーテンを開けると、眩しいくらいの光の洪水が眼下に広がっている。

無数のテールランプに遠くの方のネオンまで見える。

その景色が懐かしい。
ネオンの中で生きてたアタシが顔を出す。

「サラでございます……」

耳の奥で聞こえてくるのは笑い声とグラスの触れる音。
目を閉じればトパーズ色の景色が浮かんでくる。

「……」

目を開ければシンとした部屋に一人ぼっちのアタシ。

それらはアタシが逃げた物。

どんなに懐かしく思っても、あの空間にはもう戻れないんだ。
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