銀座のホステスには、秘密がある
「ただいま」
「おかえり」

殿とアタシは一緒に住むことにした。
元々不便だと言っていた殿のマンションを引き払って、中野のアタシの家に移ってきた殿。
もう少ししたら、港区辺りに引っ越す予定。

「アキラ。美味しい生ハムをもらったんだけど、食べないか?」
「夜はやめておく明日いただくね」

相変わらずアタシを太らそうとする殿と、体形維持をしたいアタシの攻防戦は毎晩続いている。
その戦いは少しずつ殿が優勢で、アタシの頬がふっくらしてきた。

それはそれで可愛い系の女に見えるらしいから良かったけど。

「前回の放送分な、評判いいぞ。アキラが出たら視聴率が上がるらしい」
「ほんと?でもそんなの偶然だよ」
「また出てくれるよな?」
「うーん。他の番組からも誘われてるの」
「おまえ…俺を裏切る気か」
「キャー。脇腹攻撃はやめて」

穏やかでも充実した時は流れている。

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