銀座のホステスには、秘密がある
『ギャハハ……バカばっかやってんじゃねぇよ、おまえら。ちゃんとご飯は座って食え!』

どんなメールの内容だったんだろう。
途中から聞いたラジオはかなり盛り上がっていた。

『じゃ、ここらで1曲リクエストいっとこうかな』

このラジオは、結構俺たちの気持ちを分かってくれてて、先に大人になった兄さん達が、空回ってばかりの俺たちの話を真剣に聞いてくれてる。
そういうのが嬉しくて、毎週末の放送を二人で楽しみにしていた。

『この曲にリクエストしてくれたのは、キューディ、ななつぼし、ミミガーハナガー、えくぼじん……』

「んあーーー!!聞いた?今、おまえ聞いた?」
「あぁ。確かに」
「ぃヤッター!!俺だ!ミミガーハナガーはオレだーーーーーー!!!!」
初めて充伸のラジオネームが読まれた。

「やめろ。叫ぶな!」
住宅街だぞ。
「イェーイ!!」

俺のベッドの上で飛び跳ねて、黄色のタンクトップまで脱ぎだしやがった。

「叫ぶなって。ちょっと窓閉めろ!」
「なんでだよ。暑いじゃねーか!」
「うるせーんだよ」
「俺のっ!俺のっ!ミミガーハナガーっ!」

充伸を押し退けて窓に手をかけると、調子に乗った充伸が俺の腕を掴み踊っている。

「離せって」

充伸の鍛えてる大胸筋が目の前にある。
少し腕を曲げれば触れそうな距離に……


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