銀座のホステスには、秘密がある
「サラでございます」
ご挨拶をして、殿の隣りに行こうとすると、
「サラ。あちらが小林さん。おまえも知ってるだろ?大学教授の。うちの番組に出ていただいたんだよ。その隣が俺の上司の村岡さん。おまえ、あっちに行ってくれ」
殿に、反対側に座れと指示された。
笑顔で肯いて、そこに座ってた彩乃さんと変わった。
「おー。君が噂のサラか。本当に美しいね。私のオフィスに飾っておきたいくらいだよ」
普段なら「飾ってください。アタシ、オフィスって行ったことないんで行ってみたいです」とか何とか答えるのに、今は「ありがとうございます」としか言えない。
心がささくれ立ってる。
目の前には殿。
その横には彩乃さん。
そうだった二人は顔見知りだった。
……って言うか、最初に会った時、龍太郎ママのところに一緒にアフターで来てた。
前のお店からの知り合い。ううん。お得意様。
この店に初めていらしたのも、彩乃さんの移店祝いの、あの混んでた日だった。
ってことは、殿は彩乃さん目当てで来店してるってこと?
殿が彩乃さんに何か耳打ちして、彩乃さんがにっこりとあの癒しの笑顔で肯いた。
「痛っ」
「ん?どうかした?」
殿の上司の村岡様に聞こえてしまったみたい。
「いえ。ちょっと胸が……」
「サラちゃん。グラスが空いてるわよ」
いつの間にかあかねママがテーブルに着いてた。
「あ、失礼しました。えーと……」
「小林様はおビールでよろしかったですか?」
ママが気を利かせて先に聞いてくれた。
ダメだ。
こんな失態、殿に見られたくない。
「じゃ、次はワインにしようかな。サラさんはワインはお好きかな?」
「はい。小林様は赤と白どちらがお好きですか?」
「うーん。どちらも好きだけど、今日は君のドレスに合わせて白にしようかな」
「ありがとうございます。アタシも白が飲みたいと思ってました」
「そうかそうか。なら頼むよ」
「かしこまりました」
振り向いてボーイの子を呼ぼうとしたら、
「せっかくですので、サラちゃんが選んで差し上げたら?」
あかねママが、名案でしょ?ってキラキラした顔をして小林様に提案している。
「でも、アタシ。ワインに詳しくは……」
「大丈夫よ。ママが一緒に見立ててあげるから。小林様、サラにワインを開けさせますのでしばらくお待ちいただけますか?」
「おー。それは楽しみだね」
小林様がそう言うと、すぐにママはゴンちゃんを呼んで、ローラママが代わりに席についた。
ご挨拶をして、殿の隣りに行こうとすると、
「サラ。あちらが小林さん。おまえも知ってるだろ?大学教授の。うちの番組に出ていただいたんだよ。その隣が俺の上司の村岡さん。おまえ、あっちに行ってくれ」
殿に、反対側に座れと指示された。
笑顔で肯いて、そこに座ってた彩乃さんと変わった。
「おー。君が噂のサラか。本当に美しいね。私のオフィスに飾っておきたいくらいだよ」
普段なら「飾ってください。アタシ、オフィスって行ったことないんで行ってみたいです」とか何とか答えるのに、今は「ありがとうございます」としか言えない。
心がささくれ立ってる。
目の前には殿。
その横には彩乃さん。
そうだった二人は顔見知りだった。
……って言うか、最初に会った時、龍太郎ママのところに一緒にアフターで来てた。
前のお店からの知り合い。ううん。お得意様。
この店に初めていらしたのも、彩乃さんの移店祝いの、あの混んでた日だった。
ってことは、殿は彩乃さん目当てで来店してるってこと?
殿が彩乃さんに何か耳打ちして、彩乃さんがにっこりとあの癒しの笑顔で肯いた。
「痛っ」
「ん?どうかした?」
殿の上司の村岡様に聞こえてしまったみたい。
「いえ。ちょっと胸が……」
「サラちゃん。グラスが空いてるわよ」
いつの間にかあかねママがテーブルに着いてた。
「あ、失礼しました。えーと……」
「小林様はおビールでよろしかったですか?」
ママが気を利かせて先に聞いてくれた。
ダメだ。
こんな失態、殿に見られたくない。
「じゃ、次はワインにしようかな。サラさんはワインはお好きかな?」
「はい。小林様は赤と白どちらがお好きですか?」
「うーん。どちらも好きだけど、今日は君のドレスに合わせて白にしようかな」
「ありがとうございます。アタシも白が飲みたいと思ってました」
「そうかそうか。なら頼むよ」
「かしこまりました」
振り向いてボーイの子を呼ぼうとしたら、
「せっかくですので、サラちゃんが選んで差し上げたら?」
あかねママが、名案でしょ?ってキラキラした顔をして小林様に提案している。
「でも、アタシ。ワインに詳しくは……」
「大丈夫よ。ママが一緒に見立ててあげるから。小林様、サラにワインを開けさせますのでしばらくお待ちいただけますか?」
「おー。それは楽しみだね」
小林様がそう言うと、すぐにママはゴンちゃんを呼んで、ローラママが代わりに席についた。