銀座のホステスには、秘密がある
あれから何度かアタシを指名してくれる殿。
その度に彩乃さんがヘルプにつく。
もう、彩乃さんはヘルプになんてつかないで一本立ちしていいと思うんだけど……
「ポン!」
小気味の良い音を立てて、シャンパンが開けられた。
細いシャンパングラスが4つ並ぶ。
「カンパーイ」
殿の合図でアタシは末永様と乾杯をする。
その目の前で彩乃さんが殿と見つめ合って乾杯してる。
やっぱり殿の好きな人は彩乃さんなのね。
「失礼いたします。サラさん」
「少し失礼します」
程なくしてゴンちゃんに呼ばれて席を外した時には、ホッとしていた。
「加藤様のところに戻って」
「ゴンちゃん。上杉様のところ樹里をつけといて」
「え?どうした?」
「しばらく加藤様とゆっくり話したいのよ」
「何言ってんだよ。樹里は他のテーブル持ってるから無理だ」
「じゃ、誰か。アタシが戻らなくてもいいように……」
「上杉様はサラがご指名なんだから、戻らない訳にはいかないだろ」
バックヤードのカーテンの裏で、ギュッと目を閉じた。
「どうしたんだよ、サラ。おまえらしくないぞ」
「ごめん。今の、忘れて」
ペットボトルのお水を一口飲んで、
「ふぅ」
息を吐いた。
アタシらしくないよね。
一人でも多く指名していただくことが、アタシの存在意義。
指名のないアタシはここにいる価値なんてないんだから……
「お待たせいたしました」
赤いカーテンをくぐれば、美しく微笑むサラを演じる。
「……」
ゴンちゃんの不安げな視線は無視して。
薄いピンク色のネイルが塗られた手で、水割りのグラスを持ち上げる。
「いただきます」
カツン。
グラスを合わせた音が、今夜は切なく聞こえる。
その度に彩乃さんがヘルプにつく。
もう、彩乃さんはヘルプになんてつかないで一本立ちしていいと思うんだけど……
「ポン!」
小気味の良い音を立てて、シャンパンが開けられた。
細いシャンパングラスが4つ並ぶ。
「カンパーイ」
殿の合図でアタシは末永様と乾杯をする。
その目の前で彩乃さんが殿と見つめ合って乾杯してる。
やっぱり殿の好きな人は彩乃さんなのね。
「失礼いたします。サラさん」
「少し失礼します」
程なくしてゴンちゃんに呼ばれて席を外した時には、ホッとしていた。
「加藤様のところに戻って」
「ゴンちゃん。上杉様のところ樹里をつけといて」
「え?どうした?」
「しばらく加藤様とゆっくり話したいのよ」
「何言ってんだよ。樹里は他のテーブル持ってるから無理だ」
「じゃ、誰か。アタシが戻らなくてもいいように……」
「上杉様はサラがご指名なんだから、戻らない訳にはいかないだろ」
バックヤードのカーテンの裏で、ギュッと目を閉じた。
「どうしたんだよ、サラ。おまえらしくないぞ」
「ごめん。今の、忘れて」
ペットボトルのお水を一口飲んで、
「ふぅ」
息を吐いた。
アタシらしくないよね。
一人でも多く指名していただくことが、アタシの存在意義。
指名のないアタシはここにいる価値なんてないんだから……
「お待たせいたしました」
赤いカーテンをくぐれば、美しく微笑むサラを演じる。
「……」
ゴンちゃんの不安げな視線は無視して。
薄いピンク色のネイルが塗られた手で、水割りのグラスを持ち上げる。
「いただきます」
カツン。
グラスを合わせた音が、今夜は切なく聞こえる。