銀座のホステスには、秘密がある
充伸の太い眉毛がハの字になった。
そのままの顔で充伸は2回瞬きして、「え?」と言ったきり固まってしまった。
予想してた反応と違う。
「違うんだ。そうじゃなくて……」
「はは……おまえ、何言ってんだよ。そんなん、あんま面白い冗談じゃねーな」
急いで黄色いタンクトップを着る充伸。
「……みつ……」
「あ、いや。面白かったわ。うん。そうだな。はは……笑ったわ」
俺の方は一切見ないで、その場に散乱してた自分の物をリュックに詰め込み始めた。
「……何してんだよ」
「あ?あぁ、ちょっとな弟の様子見てやんねーとな」
「帰んのか?」
俺が伸ばした手を充伸はサッとかわしてやっと俺を見た。
「ほ、他の奴が、晶は女に興味がねぇって言っても、俺は違うって思ってた」
「……」
「悪い。俺、無理だわ。男同士とか……マジ、引く……」
「……」
バタバタと逃げるように去っていく充伸を、
俺は……引きとめることができなかった。
『ただ春の夜の夢のごとし……』
一人部屋に残され、足元を見てた。
動けなかった。
悔しさと情けなさと、いろんな感情が俺の中を渦巻いたけど、
手の平をギュっと握るしかできなかった。
なんで俺は言ってしまったんだろう……
それから卒業まで充伸と話をすることはなかった。
『たけき者も遂には滅びぬ
ひとえに風の前のちりに同じ』
調子に乗り過ぎたんだ。
俺は、親友まで失う羽目になった。
そのままの顔で充伸は2回瞬きして、「え?」と言ったきり固まってしまった。
予想してた反応と違う。
「違うんだ。そうじゃなくて……」
「はは……おまえ、何言ってんだよ。そんなん、あんま面白い冗談じゃねーな」
急いで黄色いタンクトップを着る充伸。
「……みつ……」
「あ、いや。面白かったわ。うん。そうだな。はは……笑ったわ」
俺の方は一切見ないで、その場に散乱してた自分の物をリュックに詰め込み始めた。
「……何してんだよ」
「あ?あぁ、ちょっとな弟の様子見てやんねーとな」
「帰んのか?」
俺が伸ばした手を充伸はサッとかわしてやっと俺を見た。
「ほ、他の奴が、晶は女に興味がねぇって言っても、俺は違うって思ってた」
「……」
「悪い。俺、無理だわ。男同士とか……マジ、引く……」
「……」
バタバタと逃げるように去っていく充伸を、
俺は……引きとめることができなかった。
『ただ春の夜の夢のごとし……』
一人部屋に残され、足元を見てた。
動けなかった。
悔しさと情けなさと、いろんな感情が俺の中を渦巻いたけど、
手の平をギュっと握るしかできなかった。
なんで俺は言ってしまったんだろう……
それから卒業まで充伸と話をすることはなかった。
『たけき者も遂には滅びぬ
ひとえに風の前のちりに同じ』
調子に乗り過ぎたんだ。
俺は、親友まで失う羽目になった。