銀座のホステスには、秘密がある
自分でもバカなことしてるんじゃないかと思う。
止めとけばいいのに、って心の声が聞えたりもする。

でも彩乃が小さく頷いた時から、この作戦はアタシにかかってる。
彼女を助けられるのはアタシしかいないじゃない。

あとは行動あるのみ。

「まずは、こたつから……」
鼻息も荒く、休みの日に買いだしに出た。
当然アタシの部屋にはこたつや鍋なんてない。
リストアップしたものをまずは揃えなきゃならない。

一目ぼれしたのは楕円のこたつ。
それに北欧調のピンクのこたつ布団も合わせると、

「座椅子もいる?」

かなり大掛かりな部屋の模様替えとなりそう。

「次は……鍋」

鍋に徳利にお皿にって、一揃え用意して、部屋に置いてみる。

「うん。良い感じかも……」

これまで真ん中に置いてた真っ赤なエアロバイクを隣の部屋に押し込んで、
部屋の真ん中、ソファーの前に置かれたこたつ。
すっごい生活感が出るけど、ここでくつろぐ殿を見てみたい。

アタシはスマホを取り出して、画面に殿の名前を呼び出す。
3回くらい深呼吸をしてから、殿に電話を掛けてみた。

プルルルって呼び出し音が続く度に、アタシのドキドキも大きくなる。
もう切ってしまおうかと考えた時、

「おー。どうした?」

殿が出た。
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