スマイル 〜約束した君へ〜
膝をついたまま、内股の格好で座り込んでた。

後から後からこぼれ落ちる涙が、地面に大きいシミを作ってく。
吸い込んでく地面に負けないくらい、たくさんの涙がこぼれる。

でも、そうちゃんは生き返らない。

あの日の約束も

もう果たせない……。





「……気ぃ済んだか…?」



相当泣いた後、頭の上から声がした。

優しいお兄ちゃんがいたはずの人。
今は…1人っ子になってしまった人…。



「……お前がどんなに泣いたって、兄貴は生き返らねぇんだよ!また会うことなんて、二度とできねぇんだよ!」



泣くのが無駄だと言われてるみたい。
亡くなった人を想うのがいけない事みたい。



(………この人は……お兄ちゃんを嫌ってる…。心の底でそうちゃんを……最初からいない人のように思ってる……。自分のたった1人のお兄ちゃんなのに…亡くなっても…見守ってる人なのに…)



「……河口君は……可哀相な人だね…」



私の言葉に顔を曇らせた。
そんな表情をされても、私の口は止まらない。

この人は、私の大事な初恋の相手を…
私の大事な友達のことを……

自分の良いようにしか、扱わないから…。



「可哀相な人……自分だけが傷を負ったと思ってる…。自分だけが…正しいって思ってる…。生きてるのに…せっかく…命があるのに……」



「うるせぇ!!」



ぱぁん…!と叩かれた。
左の頬、痛みと言うより、シビれ…てる…。
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