スマイル 〜約束した君へ〜
水色の野球帽をかぶった男の子が、息を切らして走ってきた。
背の高さや格好で、そうちゃんだと思ってしまった。


『そうちゃん!』


ベンチから飛び跳ねるように立ち上がった。
大きく手を振って、『ココだよ!』と教えた。

帽子をかぶった子は、ハーハー…と息を切らして……

『遅くなってごめんね…ボク…』
『いいよっ!来てくれたんだもん!ゼッタイ来るって、信じてたもん!!』

ニッコリ笑った。
最後だけど、泣いてお別れにしたくなかった。


『また…会いに来て……』


息を切らしながら、その子が言った。


『うんっ!そうちゃんも、退院したら会いに来てね!』


家の場所は教えてた。
だから、ゼッタイ、会いに来てくれると信じてた。
…それに、自分もまた、ここ(病院)へ来れると思ってた。



『はるなー!パパが迎えに来たよ!』


ママが呼んでる。
久しぶりにパパにも会える!


『そうちゃん、ゼッタイにまた会おうね!』


きゅっと手を握って放した。
そうちゃんは走って行く私に向かって、いつまでも、いつまでも手を振り続けてた。


『…ゼッタイに、また、会おうっ!!』



『うんっ!ゼッタイね!!』ーーーーーー




………守れると思ってた。

幼い頃の私は、その後、自分の生活が大きく変わることを、何も知らなかった………
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