スマイル 〜約束した君へ〜

まりんちゃんは河口君が私を庇ってから、更にイジワルをエスカレートさせた。

隣に座ってることが気に入らないみたいで、机にラクガキしたり、中の物をわざと隠してみたり。
まるで小学生か中学生みたいなイジメを受けた。



ある日、教科書がカッターで切られてた。
バラバラの紙切れになった教科書を前に茫然とする。
無視やラクガキ、モノを隠すなんて、まだ我慢できる。
でも、自分の持ち物に手を出されるようなこと、私はしてない。


(もうダメ!ガマンの限界!!)


…堪えられなくなって、立ち上がった。
その様子を眺めてた河口君は、机の上に置いてある教科書に気がついた。
無言で驚いてる。
それから、私のことを呼び止めた。


「…おいっ、お前、その教科書どうしたんだよ」


その声にまりんちゃん達が敏感に反応した。


「自分でやったんじゃないの⁉︎ 」
「ストレス発散!」


笑ってる。
その態度に、ムカムカと腹が立った。


「そうなのか⁉︎ 」


聞き返す彼に、首を横に振った。


「…ふーん。…だったら他のヤツらの仕業か。サイテーだな。人のモノに手ェ出すなんて…」


呆れるような言い方。
教室の隅に固まってる鳥たちがその様子を睨むようにして見てた。


「困るだろ、そんなんじゃ。これ貸してやるわ」


ポン!っと教科書を放り投げる。


「えっ⁉︎ …あ…でも、河口君は…」
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