スマイル 〜約束した君へ〜

それを隠したくて、急いで紙を引っ張って破った。
アイツを怒らずに立ち上がったのは、泣き出しそうになる自分をごまかす為。
兄貴のことをダイゴにも話してなかったのは、『ブラコン』と言われてバカにされたくなかったから。


…とにかく、それくらいオレは、兄貴のことが大好きだった。

兄貴との思い出がオレより多いかも…と言われ、手を上げたのも、アイツに対するシットがあったから。

……全部、全部、オレの兄貴への思いがそうさせたーーーーー



礼を言われたヤツは、キョトン…と間の抜けた顔をしてた。
オレはその顔を見て、また笑ってしまった。

久しぶりみたいなオレの笑い声を聞いて、ダイゴの奴がやって来る。
そいつに向かって、オレは改めてホントの気持ちを話した。


「ダイゴ、オレ…穂波センパイのことが好きだ」


イキナリな発言に、ダイゴが少し驚いた。


「…でも、今はどうも思ってない!」


「きのした はるな」が部活で干されてたのに、センパイは気づいてもなかった。
オレのことはあんなによく知ってたのに、所詮、『他所者』には冷たい人なんだな…って分かったから。


「オレ…センパイはダイゴとお似合いだと思う。仲良くやれよな!これからも!」


負け惜しみじゃねぇぞ…と笑った。
ダイゴはオレの頭を小突いて、「仲良くやるさ!」と胸を張った。


「それからな…」

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