スマイル 〜約束した君へ〜
言葉を続けながら、隣にいるヤツに視線を送った。
ギクッとした表情を見せる。
その顔に笑顔を向けて、ダイゴを振り返った。


「前に話した兄貴のこと。…死んだんだ。10年前に…。病気で。腎臓が悪くて…」


淡々…と話した。
それ以上の話はねぇ。
既に死んじまった人だから。


「そっか…それでお前、この間……」


キレてた理由が分かったような顔をして、ダイゴはオレとゲンコツを交わした。



「…兄貴の分も、これからよろしく頼むな!」
「任せとけ!できの悪い弟!」


兄弟みたいに触れ合ってきたオレとダイゴ。


(これからも、ずっと同じクラスでいたい……)


入学進級式の後、ダイゴが言ったセリフと同じ事を、オレは改めて心に刻み込んでたーーーー




まりんは、授業を1時間サボっただけで、教室に戻ってきた。
オレと「きのした はるな」の顔を見ると、バツの悪そうな表情をして席に着いた。


「はぁ…」


大きなため息が聞こえる。
まりんのことを大事な友達だと思ってるはずのヤツは、浮かない顔して黙ってた。


(……話してくるか…)


立ち上がろうとしたオレよりも先に、ヤツが立ち上がった。
くるっとこっちを向いて、マジメな顔して聞いた。


「…まりんちゃんに…そうちゃんの話をしてもいい⁉︎ 」


オレの兄貴だった…ってこと。
死んでしまってた…ってこと。
全部、話してもいいか…と聞いた。

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