スマイル 〜約束した君へ〜
カタン…と椅子の音がする。
やれやれ…ってな感じで、ダイゴが戻ってきた。

「よぉ、お疲れ!」

オンナの前に手を伸ばす。
ゴツン!とゲンコツが返ってくる。
それを眺めてたヤツが、ぷ…と小さく笑った。

「仲良いね。二人とも」

小声で感想述べる。

「…だろ⁉︎ なんたってガキの頃からの付き合いだからさ!」


ダイゴが愛想よく答える。
『きのした はるな』はそっちを見つめ、ぽそ…と小さく囁いた。

「いいな…仲のいい人が一緒で」


そのまま黙り込む。顔を見合わせるオレ達。
俯くヤツが何考えてるかなんて、全く知りもしなかった。



式典が終わり、そのまま教室に直行。
入学進級式の後にやる事は決まってる。あのイヤな『自己紹介』だ。


「中等部からの持ち上がりで、皆、知ってる顔が多いと思うけど、今日初めて会った者もいるから、一応自己紹介しよう!」

大ブーイングの中、緒方さんからしだす。

「俺は『風見学園』の卒業生。お前らの大先輩だ。だから何か困った事があったら絶対に言って来い!全力で受け止めてやるから!」

「ええ〜っ…ヤダァ…」

『風見鶏』の女子達から声が漏れる。
そいつらに苦い顔を見せ、緒方さんは出席番号順に挨拶するよう促した。
1番から35番まで、半分以上は知ってる顔。だから皆アッサリしたもん。


「…次、ソウヤ!」

出席番号13番のオレ。カタン…と椅子から立ち上がった。
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