スマイル 〜約束した君へ〜
「…それより、この崖、どうやって上ればいいんだ⁉︎ 」


二人して落ちてきた場所を見上げた。
高さとしては5,6メートル。ムリして上れない高さではないけど…


「……やっぱダメか…」


岩盤が崩れやすくて、手足を掛けると岩が崩れてく。
他に上れそうな場所も見当たらねぇし、困ったもんだ。


「こんな山ん中、電波も圏外だしな…」


スマホを取り出してみる。思った通りだ。


「まりんちゃんとダイゴ君、戻らなかったら、先生に言ってくれるよね⁉︎ 」


「きのした はるな」が不安そうにする。


「多分な…でも、それ、いつになるか分かんねぇぞ!」
「じゃあどうすればいいの⁉︎ …私たちが…ここにいるの、見つけてもらえる方法ないの⁉︎ 」


少しパニックってる。
ヤツじゃなくても慌てるか…この状況は…。


「…とりあえず、こっから動くのだけはやめとこーぜ!ヘタに動いて道に迷ったら返ってアブねぇから」


落ちてきた崖下に座り込む。
困った顔で立ち尽くしてたヤツも、そのうち腰を下ろした。



「……ごめんね…」


しばらくして、ヤツが急に謝った。


「私が足元、よく見てなかったから…」


自分が落ちたせいで、オレまで落ちたと思ってるらしい。


「アホか。気にすんな!そんなこと」


知らん顔しながら答える。
こんな態度じゃ、ますますヤツの気が咎める。


「……ごめんね…ホントに…」
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