スマイル 〜約束した君へ〜
半泣き。
あーもうっ!オンナって、なんでこんな泣き虫なんだよ!


「もういいって!」


きゅっと頭を抱く。
泣きそうになってたヤツが、グスッと鼻をすすった。


「…オレの方こそ…いろいろ悪かった…ゴメン……」


カミングアウト。
今しか謝れる時ねぇから。


「兄貴が死んだこと…あんなふうに伝えることなかった…」


大切に思ってくれてたことは嬉しかったのに、気持ちを踏みにじった。
兄貴にとって、コイツは二度と会えない、大事な人なのに。


「兄貴が生きてたら…怒られんな、きっと…」


反省を口にする。
その言葉を、「きのした はるな」は鼻をグズつかせて聞いた。



「…それを言うなら…」


泣いてたヤツが声を漏らした。


「私の方こそごめん……河口君の気持ち、考えもしないで。「可哀想…」とか言って……」


いざこざのあった日、同情してるみたいに言われた。
何も知らねぇくせに…と、確かにそう思った。


「…いいよ。あれは間違ってなかったと思う…」


オレは兄貴と違って生きてんのに、何もかもがイヤで仕方なかった。
つきたくもないウソをついた。
その為に兄貴がムリをして、死を早めたように感じてた。


「きのした はるな」に出会って、ますますその気持ちが加速した。
コイツの口から兄貴の事が出るたびに、自分が生きてる事が呪わしかった。


「……オレ…お前に会いに行かなきゃ良かった…って、ずっと後悔してた…」
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