スマイル 〜約束した君へ〜
私たちは、その後、無事発見された。
いつまでも帰ってこないのを心配したダイゴ君とまりんちゃんが、緒方先生に話してくれたから。


「……見ぃーつけたっ!」


大きな声を出したのは、ダイゴ君だった。
手をつないでた私たちは、慌てて離して上を見た。

崖上の樹々の隙間から覗いてる瞳。
まりんちゃんの顔がホッとしてる。
ダイゴ君は「何やってんだよ!」と笑った。


…痛かった右肘は少し腫れてたけど、そのまま宿泊学習を続けた。
楽しみにしてたオリエンテーリング、キャンプファイヤーに登山…
思い出は沢山できて、今までで一番楽しい学校生活を送れた。



ーーーーでも…その後はサイアクだった……


宿泊学習から帰った翌日、病院に行くと、すぐに入院するよう言われた。
腫れてた右肘は骨折してて、骨が少しズレてた。


「……どうしてもっと早く来なかったの…!」


女医さんの顔が険しい。
私はゴメンなさい…と謝りながら、ココロの中で舌を出した。

10年ぶりの入院生活。
あの頃と同じように、ママは殆ど病室に顔を出さない。
過去に戻ってしまったような毎日。
でも、ここに、そうちゃんの姿はない…。


右肘は手術することになった。
その為の血液検査を何度か繰り返した。
なかなか手術の日取りが決まらない。
それには理由があった。


「…炎症反応が高いの。白血球の数値もかなり上がってるし、もう少し調べてからでないと、なんとも言えないけど、今のままでは、オペは難しいわね…」
< 138 / 168 >

この作品をシェア

pagetop