スマイル 〜約束した君へ〜
「…ダメよ!!こんなの食べちゃ!!」


血相変えて飛んできた。
バッ…!とうまい棒を取り上げる。
驚いた顔でアイツがママを見る。
オレとダイゴとまりんも、思わずそっちを見た。


「……あ…あの……ご、ごめんね…」


お水系ママが謝った。


「はるな…塩分の多い物、食べちゃいけないらしくて…今、先生に言われたから…」


早口で説明。慌てるとこなんか似てるな。コイツに。


「…宿泊学習中にやったオリエンテーリングの景品なの。…わざわざ持ってきてくれたんだよ」


アイツが説明する。だけどママは、うまい棒を返さない。


「…そう…どうもありがとう…はるなに会いに来てくれて…」


ニッコリ笑う顔が似てる。


(コイツ…母親似か…)


若いママだな…って感じ。
ダイゴとまりんが自己紹介する。
お水系ママは頷いて、オレの方に目を向けた。

ドキッ。

「か…河口蒼弥…です」


短く名前だけ言った。キョトン…とした表情が、嬉しそうになる。


「…もしかして…そうちゃん…って子⁉︎ 」


…一瞬、戸惑った。


「ち…」
「違うよママ。河口君は、そうちゃんの弟さん……そうちゃんは……亡くなったんだって……」


声が小さくなる。
それを聞いて、ママの方がショック受けてた。


「…そ…そうなの…残念……」


ーーそんなガッカリするコトか…?
コイツはともかく、親まで…ってのはどうなんだ。
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