スマイル 〜約束した君へ〜
「そうちゃんの話は、いつもはるなから聞かされてたから…本人ならお礼を言いたいと思ったんだけど……そう…亡くなったの……」


複雑な表情。
兄貴って奴は、つくづく得な人だ。


「…ママ、お店行かなくていいの?そろそろ開店の時間よ?」


時計を指し示す。


「…そ、そうね……皆、ゆっくりしてってね。でも、はるな…お菓子はダメよ…!」


厳しいくらい年押し。


「分かってる。もうすぐ夕食だし、食べないって!」


安心させるかのように答えてる。
ママはホッとして、部屋を出て行った。



「ーーーーごめんね…ママってば融通きかなくて…」


ドアが閉まると、「きのした はるな」は謝った。
食べたかったのにな…ってわざと言う。
…そんな食べたそうにもしてなかったのに。


「いいよ、仕方ないじゃん!ドクターが言うんだから」
「次来る時は、別のもんにするよ!」


物分かりのいい二人が返事する。
そこにまた、ノックの音がした。


「お夕食でーす!」


白いトレイに乗った食事が運ばれてきた。
帽子を被った調理員らしきおばさんが、サイドテーブルに置いてく。


「…ありがとうございます…」


見るなりイヤな顔。


「しっかり食べてね」


出てくおばさんに小さくため息が漏れる。


「…もう夕食なんだ?早いね」


物珍しそうなダイゴとまりん。


「うん…だからあんま食欲なくて…」


眺めるだけで食べようとしない。
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