スマイル 〜約束した君へ〜
「きのした はるな」が息を引き取った…という連絡は、明け方の5時過ぎに入ってきた。

なかなか眠れなくて、やっと眠り始めた頃だった。


最初、文字だけじゃイミが分からなかった。
なんでだろ…と、漠然と考えた…。


…約束を果たす為に、ヤツは頑張ってるんだとばかり思ってた。
だから、オレは、少しでも勉強が教えられるようになっとこうと思って、寝ないで授業を受けてた。


「…なのに、この仕打ちかよ…!」


…『死』…ってやつは、どうしていつも、こんな急に来るんだよ。
こっちは心の準備も何もできてねぇのに…。


こんなボンヤリした頭で、何を信じろって言うんだよ。
…信じられる訳、ねぇじゃんかよ!



「……ウソだろ?ニィちゃん…」


連れてったりしてねぇよな…?
オレはまだ、ヤツに何も言ってねぇよ?

同じ教室の隣の席を、アイツの為に残しといてやるって、約束しただけだよ?

何もかも、それからでいい…って思ってたもん。
それからでも間に合う…って、思ってたもん。


……なのに、何だよ…この仕打ち……
オレが何かしたのかよ…
何でいつも、オレばっかなんだよ…
なんで、オレばっか、苦しい思いすんだよ。


…どうすりゃいいんだよ、オレは……

今度は誰を逆恨みして生きてけばいいんだよ。
誰も恨んだりなんか、できねぇじゃんか。

病気が相手なんだから、仕方ねぇ…としか思えねぇじゃんか。

誰にこの苦しみを話すんだよ!
ダイゴ以外の誰にも、「きのした はるな」本人すらも、オレの気持ち、知らねぇでいるのに。
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