スマイル 〜約束した君へ〜
ーーー ヘタな大芝居を打った翌日から、「きのした はるな」の態度は変わったそうだ。


『……具合…どう?』


心配して、病室を訪ねて来た。



『ーー優しい子だった!思った通り、カワイイ子だった!』


兄貴は興奮気味に話してた。



『……そうちゃんの喜びようったら、なかったよ…』


晩ご飯を食べながら、カヨコが両親に教えてた。

それからいつ見舞いに行っても、「そうま」と「はるな」は一緒だった。



『…つまんない!ニイちゃんが遊んでくれないっ!!』


お兄ちゃんっ子だったオレは寂しかった。
ついて回りたかったのに、大人達に邪魔された。


ーーーでも、それは仕方なかったんだ。


兄貴がそんなに長く生きれないことを、皆は察してた。
そういう理由がある事を、オレには話してくれてなかった。




「ニイちゃん……」

起き上がって、一緒に写ってる写真を手にした。


「『きのした はるな』に会ったよ…。あいつ…何も変わってなかった…。相変わらず可愛くて、幼い頃のままだった…」



亡くなった兄貴に報告。
死ぬまでずっと、気にしてた子のことだから。


「『風見鶏』として、面倒見るよう言われたよ…。ニイちゃんが生きてたら、同じように言ったかもしれねぇな…」


緒方さんの言葉が思い出される。それから、ダイゴの親切ぶりも。
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