スマイル 〜約束した君へ〜
緒方さんが後ろへ逃げてった後、小さな声がする。


「…ごめんね……」


オレとダイゴに向けて1回ずつ。


「ヘーキだよ!気にしないで!」


優しいダイゴが答える。でも、オレは知らん顔。


別に、「きのした はるな」のせいじゃねぇ。
緒方さんがオレ達を怒ったのは、単に言い易いからだ。



オリエンテーション修了後、その場解散になった。


「怒られてたわね〜」


楽しそうに周りの女子達にからかわれた。


「そうなんだよ!ガタちゃんのヤツ、オレらには言い易いもんだからさ…!」


後でとっちめよーぜ!と話すダイゴにテキトーに返事。
『風見鶏』の中に入れず、遠巻きにヤツはこっちを見てた。


「…あっ、そーだ、まりん!お前さ、今度部活行く時、あの子誘ってやってくれよ!」


遠巻きに眺めてたアイツをダイゴが指差した。


「ハルナちゃん、バドに入れたいんだ。見学してもらったらいいと思って」
「えっ⁉︎ あの『他所者』を⁉︎ 」


『風見鶏』の一員、香月麻鈴(こうづき まりん)はそう言ってアイツを見た。


「『他所者』言うな!『木下 陽菜』って名前がちゃんとあるんだから!」

おいでよ…と手招きしてる。
困ったような顔してるヤツが、オドオドと近づいてきた。


「ハルナちゃん、こいつはまりん。オレ達と同じ小学部からのダチで、バドミントン部なんだ。今度、一緒に部活に連れてってくれるよう頼んどいたから、見学に来なよ!」
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