スマイル 〜約束した君へ〜
体育館の前、クラス分けの紙が貼り出してある。


「…ソウヤ、お前、何組?」

小学部からの同級生、楠瀬大吾(くすのせ だいご)が聞いてきた。


「んー⁉︎ …オレ…3組だな…」

自分の名前、『河口蒼弥(かわぐち そうや)』の文字を見つけた。


「…っ何だよ!また一緒かよ!」


ヤレヤレ…って顔される。
自分の名前の二つ下、『楠瀬大吾』の字も見える。


「また…って言い方ねぇだろ⁉︎ お互い様だってんだ!」


小学部からのくされ縁。
『ダイゴとソウヤ』は切っても切れない関係だ。


「…なぁに?あなた達、また同じクラスなの⁉︎ 」

後ろから顔を覗かすダイゴの母。

「ホントにいつまでも一緒ねー!」

偶然とは言え、9回目の奇跡に驚くミドリ。


……あ、一つ言っとく。ミドリってうちの母親だから。

「兄弟でもここまで同じクラスになれないのに、よっぽど縁があるのね。あんた達…」

ダイゴの母親、カレンさんが笑う。
うちのミドリも一緒になって笑ってる。
『兄弟』…って言葉に敏感になっちまうのは、オレだけなのかもしれないけど…。


「兄弟みたいなもんだよな、ここまで来ると…」


ポンッ!と肩を叩かれる。
オレより頭一つデカいダイゴに、フイ…と背中を向けた。


「…まぁ、そうかもな…」

胸の中に残る思い。
今朝一番に手を合わせた人のことを考えてた。

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