スマイル 〜約束した君へ〜
紙を折り始める。
その様子を見ながら、その事情とやらが聞いてみたくなったけど……


(やめやめ!どうせ大した事じゃねぇよ!)

大なり小なり理由はあっても、今更どうなるもんでもねぇ。それより…


「お前…そいつのこと、好きだったとか⁉︎ …ひょっとして、初恋の相手とか言うんじゃね⁉︎ 」


ませてんな…って、笑ってやろうかと思った。そしたら…


「うん…!今でも大切な人なの!」


しっかりした口調で言い返された。
まさかそこまでハッキリ言うとは思ってなかった。


「そうちゃんは…私の心を照らしてくれた人だから…。忘れられない思い出を…沢山くれた人だから…」
「…そうちゃん?」
「うん!皆そう呼んでたの!看護師さんも先生も、そうちゃんのおばあちゃんも……あっ!そう言えば、弟がいるって話してた!」


急にお喋りになった。
自分のことが話題に上ったから、少し黙っとこうと思った。


「ヤンチャな子なんだって言ってた。顔や声が双子みたいに似てるから、よく間違われる…って」


今も似てるのかな…と空想してる。
兄貴が生きてなきゃ、それは分からねぇ。


「一度も会ったことないんだけど、とても可愛がってたみたい。私、兄弟いないから羨ましいな…ってよく思ってた」


話しながらも手は動かしてる。
しかもなんだか、さっきより早い。


「…河口君は…兄弟いる?」
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