スマイル 〜約束した君へ〜
コウモリみたいにあちこち動いてる。
ダイゴはいい奴だけど、センパイには似あわねぇ。


(あんな誰にもでもいい顔する奴…センパイが好きになる訳ねぇ!)


ムリヤリ信じ込もうとした。
心の中が黒い雲で覆われても、そう思うことにした。


シット…って言葉は使わない。
オレは…


ダイゴには負けたくねぇだけ!……




ーーーーーーーーーーーーーーー


新学期が始まって、早くも2週間以上経った。
約束の土曜日、オレとダイゴは駅前の広場にいた。


「おっせー…」


今年一番の暑さになるって言ってた通り。
まるで夏か…ってくらいの暑さだ。


「あっ…ライン入った!」


ダイゴの声に振り返る。


「今電車降りたトコだって!そろそろ来るな!」


返事送ってる。こまめな奴。


「お待たせー!」


センパイの声。ほぼ反射的に振り向いた。


(カッケー!)


白いシャツに黒のパンツルック。
肩にはオレンジのカーディガン羽織って、なんだかオトナっぽい。


「あれ…?ハルナまだ…?」


その声に初めて気づく。


「ゲッ…!まりんも一緒かよ!」


黄色のTシャツに迷彩カラーのカーゴパンツ。
色気も何もねぇカッコ…。


「私が一緒で悪い⁉︎ 」


ヒドい言い方…!って、センパイに泣きついてる。


「ヨシヨシ…めげない、めげない!」


センパイの慰め方もテキトー。
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