スマイル 〜約束した君へ〜
子供っぽいからムリもねぇ。
ある意味、カンタンに騙せると思われてんだろう。


「…あっ!来た来た!おーい!」


駅の改札から3人組が走ってくる。
一番先頭がダイゴ。まりん、センパイの順。


「心配したー!」
「大丈夫だった⁉︎ 平気⁉︎ 」

まりんとセンパイがヤツを囲む。


「大丈夫です…河口君が助けてくれたから…」
「へぇー…ソウヤが?」

意外…って顔された。


「なんだよ!オレだって人助くらいするよ!」
「…でも、お前…ハルナちゃんのこととなると、いつも知らん顔だからさ…」
「今回もスルーかと思った…」


ダイゴとまりんが遠慮なく言う。


「…まぁまぁ、良かったじゃない!ソウヤ君がちゃんと待機してたお陰で見つかったんだから!」


センパイはオトナ。おかげでオレのメンツが立つ。


「そういうこと!」


ザマーミロって感じ。
ダイゴとまりんは顔を見合わせて、まぁいいか…とナットクし合った。



5人で人混みの中を歩き出す。店の場所を知ってるセンパイが先頭。
その後ろを歩くのがアイツで、その横がまりん。
オレとダイゴは少し距離を置いて、その後ろをついてった。



「ラケットって、いろいろあるの⁉︎ 」


何も知らない…とヤツが話しだす。


「色もイロイロだけど、ハルナの場合はグリップかもね。手、小さいし、普通のだと握りにくいでしょ⁉︎ 」


まりんが自分の手と比べてる。


「同じ高1には見えねぇな」


イヤミを言ったつもりはねぇ。でも、まりんに叩かれた。
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