スマイル 〜約束した君へ〜
「…買うの?」


センパイが近づいてきた。


「ソウヤ君、リストバンド集めるの趣味だもんね」


いつもいろんなの付けてるよね…だって。よく見てら。


「ほら…これなんか良くない⁉︎ 」


黒に赤いライン入り。シルバーの糸で、イニシャル入れてくれるって書いてある。


「カッケー!いかにも強そう!」
「ふふっ!よく言うよ!実際、強いくせに!」


誰にも負けたくない…って、いつもスゴい練習してるよね…と言われる。


(そんなトコまで見てるのか…)


ちょっと自信持ってしまう。
センパイがオレのこと、よく知ってっから。


「私も何か買おうかな…どれがいいと思う?選びっこしよ!」


キレイな顔で誘われると、イヤだって言えなくなる。


「う…うん…」


……オレはすっかり舞い上がった。

センパイが自分に気があるようにしか思えなかった。

でも、それは違うって、後になって分かったんだーーーー。



ーーーーーーーーーー



「きのした はるな」は自分のイメージカラーとしてピンクを選んだ。
まりんが「可愛いくて甘いカンジにしたら⁉︎ 」…と言ったから。


「今日のワンピも可愛いよね。自分のセンス⁉︎ 」


センパイに聞かれて少し黙った。


「……ううん…ママが選んだんです…」


恥ずかしそうに答える。入学式以来、2度目のママ発言。


(ブブッ…!)

可笑しくて、吹き出しそうになった。
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