スマイル 〜約束した君へ〜
「ソウヤとダイゴ!」

ペアみたいに呼ばれる。
小学部からの流れは、高等部になっても同じかよ。


「…何っすか?」


こっちも慣れた返事する。相手は教師だと言うのに。


「なんだ、その返事は!もう少しきちんと挨拶しろ!」


言葉ヅラはいいけど、お叱りになってない感じ。
クラス担任になる『緒方(おがた)』さんは、小学部から続けてる『バドミントン部』の顧問だから、お互い慣れっこになってる。


「…はよー!ガタちゃん!」


ダイゴの挨拶にがくっと傾く。


「ははは…!」


思わず笑った。
やりぃ!…って感じのダイゴ。
緒方さんが頭を軽く叩いた。


「ふざけんな!」

「すいませーん…」


気の抜けた返事。
ダイゴと緒方さんは従兄弟同士。
だから、どうしてもお互い甘くなる。



「…お前らにお願いしたいことがあるんだ」

気を取り直して緒方さんは話し始めた。


「お願い⁉︎ 」
「めんどくせー事?」

言い方変えねーダイゴにシブい顔。
それでも時間がない…と、緒方さんは話を続けた。


「お前らの真ん中に座る女子の事だけどな……」


ドキン!と胸が鳴った。

『きのした はるな』という名前がすぐに浮かんできた。
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