スマイル 〜約束した君へ〜
「編入してきた生徒だから、優しく面倒見てやってくれよ。お前らここがムダに長いんだから、それくらいの意味は分かるだろ?」

「分かってるよ、『他所者』には優しく。ここのモットーだろ⁉︎ 」


ダイゴが口にする。

「そうだ。だから宜しく頼むぞ!ソウヤもな!」

「……はいはい…」


嫌々ながら返事する。
優しくする気なんて、最初からねぇけどな。


解放されて教室に入った。

「よぉ!ソウヤにダイゴ!」

知ってるメンツが寄ってくる。

「お前ら…同じクラスかよ!」

ダイゴが奴らと話し始める。
その様子を眺めながら、横目で席を確認する。
教室の端から3番目。前から数えて4番目がオレの席。
一つ間をあけてダイゴ。
その間に座ってるのが、髪を二つに結んだオンナ。

『きのした はるな』……


「……な?ソウヤ?」

いきなりダイゴがこっちを向いた。

「な…何が?」

ギクッとする。

「何だよ、聞いてなかったのかよ。さっきのガタちゃんのお願い。『他所者』の面倒見るように頼まれたっつー話」
「あ…ああ、その事か…」


ドギマギした。
睨みつけるように見てたのを、悟られたのかと思った。



「……どの子だ?」


『風見鶏』のヤツらが興味を示す。
全員で黒板を見る。
座席を確認して、オンナに気づいた。


「…あれか?」
「…ちっせー!」
「エレメンタリーじゃねぇか」
「ソレより少しデカいぞ。まぁでも、中1並み⁉︎ 」


言いたい事言ってやがる。
モットーなんてクソ喰らえ…ってヤツらが多いからムリもねぇけど。
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