あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―

「バスケ……もう出来ねぇんだと、足の怪我が酷くて」


窓から入ってきた風がふわりと秀俊の短髪を優しく揺らした。後から、少し遅れて朱の髪も優しく揺れる。
それと同時に夕日の光が徐々に真っ白な部屋を染め始めた。


「最初聞いた時こいつ藪医者なんじゃね?って思ったよだってさ、普通に歩く事だって出来るって言うんだぜ?」


ゆっくりゆっくり、けれど確実に秀俊は、自分の気持ちを言葉に表していく。今、この部屋を染めていっている夕日の真っ赤な光の様に、確実に。


「だったらっ何でバスケだけ出来ねぇんだろうなっ……他の事は出来んのに、何でっバスケだけ!」
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