あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―
徐々に強くなっていく語調。秀俊は、今までせき止めていたなにかがまるで一気に溢れ出てきたように言い切った。そして激しく肩を上下させる。
その行動を見ただけでどれだけの力をその言葉にこめたのかが簡単に分かった。
「ははっ……本当バッカみてぇ」
自嘲気味に呟いて、それから何もなかったかの様に黙りこくってしまった秀俊の顔は、こちらから見えることは無い。
夕日の真っ赤な光が半分。そして、全てを真っ赤に染め上げた時秀俊の本当の心の声がこの部屋に一人しかいない朱の耳をかすめた。
「俺には、バスケしかねぇのに……」