あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―
また身を乗り出して今度は、びにょーんと頬を引っ張った。意外ともちもちとしていて伸びるから触っているとなんだか楽しくなってくる。
『さて、白状していただこうか』
『んーっ!』
嫌がる秀俊を見詰めている顔だけは真剣身を帯びているが、内心面白くってしょうがない。癖になりそうだ。
『分はったっ分はったから!』
仕方ない。そう言った体で手を名残惜しげにしぶしぶ離す。うん、また今度やろう。