あと一歩の勇気を―君が全てを失ったあの日、僕らは一体何ができただろうか―


『安心て……私は保護者ですか?』
『ちっげぇよ‼』


そんなの、知ってる。ただ、ちょっとだけ言ってみたかっただけだ。
嫌がる秀俊を想像しながら、どうにも抑えがきかない。
いきなり立ち上がる朱を見て不思議そうな顔をしている秀俊の背後に回りぎゅうっと強く抱きしめた。
まぁ今は春に入り始めた頃のまだ寒い時期だし暑いなんて言われる事は無いだろう。


『ふふっありがとう』
『……おぅ』
『私といると安心できるんだね?』
『……おぅ』
『私もだよ。だけどね、それと同じくらい、秀俊と一緒にいると楽しくて楽しくてしかたないんだ』
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