白雪姫な君に
なんなんだ。こいつらは。
桜庭茉莉、と呼ばれた彼女は更にびくり、と肩を跳ねさせ、俯く。
それを見て女共はケラケラ不快に笑いながら、リーダー格の女が桜庭茉莉の机を思いきり蹴った。
「桜庭、校則違反しすぎ。」
「地味なくせになんなの?」
「見てて超いたいんですけど。」
お前らも見てて痛いな、と思いながら席をたつと、桜庭茉莉の机を蹴ったリーダー格の女が擦りよってきた。
「花希くん!どこいくのぉ?」
「別に。」
どこにも、と言って、桜庭茉莉の倒れた机を元に戻すと、女共はえ、と意外そうな顔をして、花希くん?と俺の名前をよんだ。てか軽々しくよぶんじゃねぇ。
桜庭茉莉は驚いた顔をして、俺を見たあと、気まずそうに笑って、ありがとう、と呟くようにお礼を言った。
「…花希くん!!何してるの!?」
「そ、そうよ!なんでそんなやつ…!!」
キンキンと頭に響くわめき声。
頭が痛くなりそうだ。いや、もう既に痛いのかもしれない。
「あ、あの…。」
す、と透き通るような、心地のよい甘い声。
見ると、桜庭茉莉が立ち上がって、困ったような顔をしながら、違うの、と言った。