Fly*Flying*MoonLight

PM1:30 総務部~秘書室

 総務部の電話のベルが鳴り響く。私が受話器を取った。
「……はい、総務部です」
『……内村さん? 美月です。こんにちは』
「はい、内村です。こんにちは」
『お忙しいところ申し訳ないのだけれど、今すぐ、社長室に来てもらえるかしら?』
「……はい、わかりました」
 私は首をかしげながら、受話器を置いた。

 美月さんからの電話。内容はいつもと同じ。
 ……でも……。
(なんだか……感じが、変……だった……)

 なんだろう。胸の奥がざわめく。嫌な……感じ。

(と、とにかく、社長室に行かなくちゃ……)
 私は、課長に美月さんから呼ばれた事を報告し、社長室に向かった。

***

「来てくれてありがとう、内村さん」
「はい」
 ……美月さん、表情がちょっと硬い……?
(いつも冷静な美月さんが……)

「……今、社長にお客様が来られてるの。私仕事が忙しくて、手が離せなくて……」
「……」
「……お飲み物運んでもらえるかしら」
「はい、わかりました」
 それぐらいだったら、私にもできる。

 仕事に戻った美月さんを背にして、用意をする。
 ドリップコーヒーを来客用のカップに注ぐ。お茶菓子は……あ、棚にクッキーがあるかな。白いお皿に並べた。 お盆に載せて、社長室の入口へと向かう。

 ……コンコン

「……どうぞ」
 ……和也さんの声も……なんか変……。

「失礼します、コーヒーをお持ちしました」
 扉が開いた。開けてくれた和也さんの顔を見て――、思わず息をのんだ。
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