Fly*Flying*MoonLight
AM12:00 パーティー会場
「これは……!」
「こんな美味しいスープ、初めて……」
テーブルのあちらこちらから、感嘆の声が上がった。
食堂と玄関ホール、庭の一部を解放して作られたパーティー会場。
お食事の一番初め、におばあちゃんのスープ。
昨日、大きな寸胴鍋3つ分煮込んでおいた。よかった、皆に喜んでもらえて。
私もスープを口に運ぶ。おばあちゃんの魔法が身体に染みわたる。
……私の右隣で食べていた和也さんが、私の方を向いた。
「……楓」
「はい」
和也さんがスプーンをテーブルに置く。私も同じように、置いた。
……そして、和也さんが、言った。
***
会場のあちらこちらで上がる、ため息のような声。
……相変わらず、心に沁みるような、味。
俺は隣に座っている楓を見た。おばあちゃんのウエディングドレスに身を包んだ楓は……本当に、綺麗、だ。
……楓の最大の魔法。それは、空を飛んだり、風を操ったりすることじゃない。
誰かを大切に想う気持ち。幸せになってほしい、と願う心。
それが、楓の魔法、だ。
『……元々あるところに働きかける力、です。何もないところからは、何も生まれません』
楓の心の中にある、強い想い。それに、俺も皆も……きっと風も応えているんだ、と思う。
(俺は…)
俺に出来ることは……。
俺は、スプーンを置き、楓の方を見た。楓も、同じようにスプーンを置いて、こちらを見た。
「……楓」
「はい」
……俺は、楓の左手をとり、真新しい結婚指輪、にキスしながら言った。
「お前が、そのままのお前でいられるように
……その魔法をずっと使えるように、
……俺が、お前を愛するから」
***
『お前が、そのままのお前でいられるように
……その魔法をずっと使えるように、
……俺が、お前を愛するから』
……そう、和也さんが言った。
「そ……の、言葉……」
胸がいっぱいになった。涙が……ぼたり、とこぼれた。
「楓!?」
和也さんが慌てたように、私の顔を覗き込んだ。私は、首を横に振って、涙を拭いた。
「和也さんの……言葉、が……」
「……おじいちゃんが、おばあちゃんに結婚式で誓った言葉……と、同じ、なんです……」
和也さんの瞳が大きく見開かれた。
私は真っ直ぐに和也さんを見て言った。
「私……祖父以上の男性に会った事がない、って言ってましたけど……」
自然にこぼれる笑み。和也さんの驚いたような表情。
この人を、ずっと、愛していこう。
……そう、心の中で誓った。
「……ちゃんと会えました。
……おじいちゃん以上に素敵な、男性に」
「こんな美味しいスープ、初めて……」
テーブルのあちらこちらから、感嘆の声が上がった。
食堂と玄関ホール、庭の一部を解放して作られたパーティー会場。
お食事の一番初め、におばあちゃんのスープ。
昨日、大きな寸胴鍋3つ分煮込んでおいた。よかった、皆に喜んでもらえて。
私もスープを口に運ぶ。おばあちゃんの魔法が身体に染みわたる。
……私の右隣で食べていた和也さんが、私の方を向いた。
「……楓」
「はい」
和也さんがスプーンをテーブルに置く。私も同じように、置いた。
……そして、和也さんが、言った。
***
会場のあちらこちらで上がる、ため息のような声。
……相変わらず、心に沁みるような、味。
俺は隣に座っている楓を見た。おばあちゃんのウエディングドレスに身を包んだ楓は……本当に、綺麗、だ。
……楓の最大の魔法。それは、空を飛んだり、風を操ったりすることじゃない。
誰かを大切に想う気持ち。幸せになってほしい、と願う心。
それが、楓の魔法、だ。
『……元々あるところに働きかける力、です。何もないところからは、何も生まれません』
楓の心の中にある、強い想い。それに、俺も皆も……きっと風も応えているんだ、と思う。
(俺は…)
俺に出来ることは……。
俺は、スプーンを置き、楓の方を見た。楓も、同じようにスプーンを置いて、こちらを見た。
「……楓」
「はい」
……俺は、楓の左手をとり、真新しい結婚指輪、にキスしながら言った。
「お前が、そのままのお前でいられるように
……その魔法をずっと使えるように、
……俺が、お前を愛するから」
***
『お前が、そのままのお前でいられるように
……その魔法をずっと使えるように、
……俺が、お前を愛するから』
……そう、和也さんが言った。
「そ……の、言葉……」
胸がいっぱいになった。涙が……ぼたり、とこぼれた。
「楓!?」
和也さんが慌てたように、私の顔を覗き込んだ。私は、首を横に振って、涙を拭いた。
「和也さんの……言葉、が……」
「……おじいちゃんが、おばあちゃんに結婚式で誓った言葉……と、同じ、なんです……」
和也さんの瞳が大きく見開かれた。
私は真っ直ぐに和也さんを見て言った。
「私……祖父以上の男性に会った事がない、って言ってましたけど……」
自然にこぼれる笑み。和也さんの驚いたような表情。
この人を、ずっと、愛していこう。
……そう、心の中で誓った。
「……ちゃんと会えました。
……おじいちゃん以上に素敵な、男性に」