Fly*Flying*MoonLight
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「……なかなかやるわね、和也さん」
 水晶玉を見ながら、ふふふっと笑みがこぼれた。

「あらマリー。カエデの結婚式、見てるの?」
「そうよ、ブレンダ。綺麗でしょう、私の孫は」

 ブレンダが、はあとため息をついた。
「マリー。過去のカエデにあのハーブ送ったの、あなたでしょ?」
「あら、バレていたのね」
 楓にはバレなかったのに。さすがはブレンダ。
「ぎりぎり干渉値内よ? だって楓は『魔女』だもの」

 ……魔法で人間界に関わる事は、魔女にとってご法度だ。
 だから、助けたくても助けられない事も、たくさんあった。

「それにしても……」
 水晶玉に映る、幸せそうな二人を見て、ブレンダが言った。
「この、カズヤだったかしら? 変わった力の持ち主ね。マリーの御主人に似てるわ」
「そうね……」
「ある意味、魔女にとって天敵になるかもしれないわね、彼は」
 ……和也さんの、力。

 ……それは……

「魔力を吸い取り、無効化もできる力の持ち主と一緒にいて、大丈夫なの、カエデは?」
 私はブレンダに笑いかけた。
「それくらいが、楓にはちょうどいいのよ」
 
 楓は強大な魔力を持ってはいるけれど、身体は人間。軽自動車に、スポーツカーのエンジンを載せているようなもの。
 ……いずれは、魔力が暴走する。

 かつて、交通事故がきっかけで、幼い楓の魔力が暴走し……海人(息子)菫さん(義娘)を亡くしたように、悲劇が起こりかねない。

 ……でも、和也さんが傍にいれば。
「余計な魔力は、彼が打ち消してくれると思うわ」
 ……もう、楓は安全だ。

 ブレンダはあきれたように、私を見た。
「マリー。あなた、どこまで計算してたの?」
「あら、失礼ね。この二人が出会ったのは、必然で、私の力じゃないわよ?」

 水晶玉に映る、きらきら輝く二人の未来。
 ……まあ、それは、ここを訪ねて来てくれた時に、少しだけ教えましょうか。







 『ねえ、楓?

 ……名前は二人分、考えておいた方がいいわよ?』

 ……と。


<Fly*Flying*MoonLight 本編完>
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