Fly*Flying*MoonLight
「……あら、楓。すごいパンフレットの量ね」
『これ、みんな受けようと思ってるの』
楓がパンフレットを広げながら言った。
『短大の就活の先生も、十社やニ十社落ちたくらいで文句言いなさんな~!って……』
まだまだ就職難が続いているようね。
「楓はどんな仕事をしたいの?」
『えーっと……』
少し考えながら、楓が言う。
『自分でバリバリ仕事するよりも、誰かをサポートする方が向いてると思うから、事務職がいいなって……』
『できれば、ここから通うのに便利な会社がいいの。この家、結構手入れが大変だから、できるだけ家にいる時間が取れる会社がいいな』
「そう……」
水晶玉の向こうで、楓がまたいろいろと資料を見てる。
……あら?
「ねえ、楓? あなたが今、手に持ってるパンフレットは?」
『これ?』
グリーンをベースにした、センスのいいデザイン。
『ここの社長さんって、まだ二十代なんだって。大学在学中に立ち上げた、ネット通販が大ヒットして、今の会社の基礎になったって……』
……S・I・コーポレーション。
『ここなら、うちからも近いし、結構いいかなって……』
――これだ。
……楓の未来に映った男の子。あの子はここにいる。
私は、ゆっくりと楓に言った。
「ねえ、楓? この会社、あなたに向いてると思うわよ?」
『そうなの? おばあちゃん』
「まあ、履歴書出してみなさいな。きっといい結果がでると思うわ」
『うん、そうする! おばあちゃんの未来予知ってすごく当たるものね!』
楓が笑いながら答えた。
***
『おばあちゃん! 内定もらったわ!』
興奮した声が水晶玉から響く。
「そう、良かったわねえ」
私はにっこりと微笑んだ。
『おばあちゃんの未来予知ってすごいわね! もう十五社落ちてたから、だめかもって思ったんだけど……』
ふふっと笑みがこぼれた。
……私の『読み』が正しければ、多分楓はノーチェックで合格したはず。
何故なら……
……あの男の子、は楓に会いたがっていたから。
(ここから先は、当人同士の問題ね……)
「おめでとう、楓。来年からは社会人ね」
『ありがとう、おばあちゃん。私、一生懸命働くね』
おばあちゃんから教わった、ハーブの化粧品とかも作って売るけど、と楓が付け足した。
「きっと、この会社でいい事があると思うわよ?」
『本当? おばあちゃんがそう言ってくれるなんて、すっごく楽しみ!』
楓がうれしそうに笑った。
……ねえ、あなた。
どうやら、私たちの宝物は、運命の交差点に差し掛かったようですよ?
後は……二人がどう動くか、どう思うか、によるのでしょうけど。
……私のおせっかいも、ここまでね。
私は笑いながら、楓に言った。
「大丈夫よ、楓。あなたは、あの人と私の自慢の孫なんだから」
『これ、みんな受けようと思ってるの』
楓がパンフレットを広げながら言った。
『短大の就活の先生も、十社やニ十社落ちたくらいで文句言いなさんな~!って……』
まだまだ就職難が続いているようね。
「楓はどんな仕事をしたいの?」
『えーっと……』
少し考えながら、楓が言う。
『自分でバリバリ仕事するよりも、誰かをサポートする方が向いてると思うから、事務職がいいなって……』
『できれば、ここから通うのに便利な会社がいいの。この家、結構手入れが大変だから、できるだけ家にいる時間が取れる会社がいいな』
「そう……」
水晶玉の向こうで、楓がまたいろいろと資料を見てる。
……あら?
「ねえ、楓? あなたが今、手に持ってるパンフレットは?」
『これ?』
グリーンをベースにした、センスのいいデザイン。
『ここの社長さんって、まだ二十代なんだって。大学在学中に立ち上げた、ネット通販が大ヒットして、今の会社の基礎になったって……』
……S・I・コーポレーション。
『ここなら、うちからも近いし、結構いいかなって……』
――これだ。
……楓の未来に映った男の子。あの子はここにいる。
私は、ゆっくりと楓に言った。
「ねえ、楓? この会社、あなたに向いてると思うわよ?」
『そうなの? おばあちゃん』
「まあ、履歴書出してみなさいな。きっといい結果がでると思うわ」
『うん、そうする! おばあちゃんの未来予知ってすごく当たるものね!』
楓が笑いながら答えた。
***
『おばあちゃん! 内定もらったわ!』
興奮した声が水晶玉から響く。
「そう、良かったわねえ」
私はにっこりと微笑んだ。
『おばあちゃんの未来予知ってすごいわね! もう十五社落ちてたから、だめかもって思ったんだけど……』
ふふっと笑みがこぼれた。
……私の『読み』が正しければ、多分楓はノーチェックで合格したはず。
何故なら……
……あの男の子、は楓に会いたがっていたから。
(ここから先は、当人同士の問題ね……)
「おめでとう、楓。来年からは社会人ね」
『ありがとう、おばあちゃん。私、一生懸命働くね』
おばあちゃんから教わった、ハーブの化粧品とかも作って売るけど、と楓が付け足した。
「きっと、この会社でいい事があると思うわよ?」
『本当? おばあちゃんがそう言ってくれるなんて、すっごく楽しみ!』
楓がうれしそうに笑った。
……ねえ、あなた。
どうやら、私たちの宝物は、運命の交差点に差し掛かったようですよ?
後は……二人がどう動くか、どう思うか、によるのでしょうけど。
……私のおせっかいも、ここまでね。
私は笑いながら、楓に言った。
「大丈夫よ、楓。あなたは、あの人と私の自慢の孫なんだから」