Fly*Flying*MoonLight
和也SideのStory~魔女と出会った夜
……いつも逃げるように隠れていた、ヨットの中。
あの場所にいたくなくて。どこかに行きたくて。
……その日も、いつもと同じはずだった。
***
眠っていた俺は、激しい揺れに目を覚ました。いつの間にか、ヨットは沖合いに流されていた。
嵐のような風に……ヨットは転覆し、俺は海に投げ出された。船底にしがみついたけれど……力尽きて、海に呑みこまれた時
――誰かが、俺の身体を引っ張り上げた。
『大丈夫!?』
……聞いた事のない、女性の声。咳き込む俺の身体を、ぎゅっと抱きしめる柔らかい腕。
顔を上げると――そこには
長い黒髪を風になびかせて……心配そうに俺を覗きこむ、魔女の姿、があった。
***
「……夢か」
ふう、とため息をつき、俺はベッドから身を起こした。この暗さだと、まだ夜明け前だろう。
(どちらにせよ、ぐっすりとは眠れないしな……)
俺は、首元の鎖を引き出した。……鎖の先についている、メダルを握り締める。
『大事に持っていて。……きっと、また、会えるから』
その言葉を信じて……ずっと待っている。目の前で消えた『彼女』、を。
(もう二十年以上前になるのか……)
誰に言っても、笑われるのだろうな。新進気鋭のやり手社長と持ちあげられている俺が……幼い頃の約束を、忘れられずにいるなんて。
でも……きっと。
これからも、俺は、待ち続けるのだろう。
あの時の約束が――果たされる、その時まで。
あの場所にいたくなくて。どこかに行きたくて。
……その日も、いつもと同じはずだった。
***
眠っていた俺は、激しい揺れに目を覚ました。いつの間にか、ヨットは沖合いに流されていた。
嵐のような風に……ヨットは転覆し、俺は海に投げ出された。船底にしがみついたけれど……力尽きて、海に呑みこまれた時
――誰かが、俺の身体を引っ張り上げた。
『大丈夫!?』
……聞いた事のない、女性の声。咳き込む俺の身体を、ぎゅっと抱きしめる柔らかい腕。
顔を上げると――そこには
長い黒髪を風になびかせて……心配そうに俺を覗きこむ、魔女の姿、があった。
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「……夢か」
ふう、とため息をつき、俺はベッドから身を起こした。この暗さだと、まだ夜明け前だろう。
(どちらにせよ、ぐっすりとは眠れないしな……)
俺は、首元の鎖を引き出した。……鎖の先についている、メダルを握り締める。
『大事に持っていて。……きっと、また、会えるから』
その言葉を信じて……ずっと待っている。目の前で消えた『彼女』、を。
(もう二十年以上前になるのか……)
誰に言っても、笑われるのだろうな。新進気鋭のやり手社長と持ちあげられている俺が……幼い頃の約束を、忘れられずにいるなんて。
でも……きっと。
これからも、俺は、待ち続けるのだろう。
あの時の約束が――果たされる、その時まで。