この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
遙は瀬戸未来に基礎を教えている。
素振りと足運び、そして体力作り。
まだまだ時間は掛かるであろうが、瀬戸も平賀同様真面目に取り組んでいた。
ただ、時折平賀が吹っ飛んでくる。
その度に驚きながら、練習をしていた。
乙女は今のところ激しい運動はしていないが、遙と稽古を少しずつ重ねていた。
端正な顔立ちには似合わず、剣は重く、打突が速い。
怪我が完全に治れば、遙と互角以上で闘えるポテンシャルを持っていた。
主に練習メニューを考えるのは沖田の役目に成っていた。
稽古には参加しないが、最近は以前より学校に来るようになり、部活には必ず顔を出していた。
沖田の練習メニューに沿って練習を進めていくと、初心者の瀬戸には無理無く、完全に体調が整わない乙女には丁度良く、遙にはきつめの練習になる。
アスリートをきちんと養成するような沖田のマネジメントに、女子達は驚いていた。
沖田は又四郎のやり方には口を挟まなかった。
それはとても彼なりに、理に叶った練習だと納得していたからだった。
平賀の運動量に対して言えば、1日の練習が実に1週間分の密度だった。
又四郎は、平賀の体の限界を察して練習量を調節していた。
理屈ではなく感覚でそれが又四郎には解っていた。
それを見ながら、沖田は平賀に体の使い方や、無理の無い体の動かしかたを平賀にアドバイスしていた。
この同好会は、今までの剣道部よりも効率的に、効果的に、無駄の無い稽古を実現させていた。
練習が終わると、平賀はパソコンに1日の活動内容を入力し、活動日誌を作成した。
事細かな練習内容、アドバイスや注意点。全部員分を作成して、データを蓄積させていく。
それにより、更に効果的な練習が出来るようになった。
学校の帰りに定食屋に寄って、様々な話をする。
剣道の事、学校の事、趣味の事。その他の色々な事。
そこにテニス部終わりのカナも加わり賑やかに食事をする。
2学期が始まって、1ヶ月があっと言う間に過ぎていった。
間も無く、文化祭が近付いてくる。