この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
「遙はぶっちゃけどう思ってるの?」
学校の設備点検の為、午前で授業が終わり、学校での活動は一切出来ない金曜日。
久々に練習も文化祭の準備も休みになった。
遙と未来、乙女、テニス部のカナは、駅のカフェに寄り道していた。
沖田は早々に帰宅。
又四郎は平賀を連れて警察道場に行くと言って、彼女達とは一緒ではない。
剣道部の文化祭の準備も一通り落ち着き、皆のクラスの準備も熱が入って来た。
ある程度冷静に文化祭という物が見れるようになった時期でもある。
そんな時期に来て、色々な事を考え始めた遙は、皆を誘ってカフェに来た。
「うん・・・。恥ずかしいよね、やっぱり・・・。」
遙は小さな声で答える。
「でも交換はしないからね!」
乙女は釘を刺す。
「やっぱり遙は又四郎君なの?」
ぶっと吹き出しそうになる遙。
「な、何言ってるのカナ!私達は兄弟みたいなものなんだから・・・。そういう事は・・・。」
「結構、動揺しちゃってるじゃん。解りやすいな〜、遙。」
カナは窓の外を眺めながら言う。
「やっぱりね・・・。意識しない方が無理なんだよ・・・。あんな事件が在ったから。」
「・・・。解るけどね。あの時は沖田君も凄い活躍したよね。」
「そう。映画の探偵みたいだった。」
「まさか、演技とは言え、二人が遙を求めて闘う事になるとはね。」
未来が遙に言う。
「うん・・・。強引にあの話を押し切られちゃったけど、止めようと言えば良かったかなって、思うんだけど・・・。」
「いや、それは無理なんじゃない?基本的にあの二人は対決したいみたいなんだし。」
乙女が言った。
「だったら、女子を巻き込まないで二人でやれば良いじゃん!」
未来が口を挟む。
「演劇上、大義名分が欲しいのよ。ただ男が闘うだけなんて、つまらないじゃない。」
「でも!!」
更に未来は言う。
「沖田君は、間違いなく遙の事が好きだよ。」
場の空気が固まる。
不意に乙女が、
「それ、有るよ。有り得るよ。あの無感情人間にしたらやたら積極的に今回の構成考えていたもの。」
未来と乙女は、顔を見合わせた。
そして納得の表情を浮かべる。
「えっ!ま、まさか!沖田君は普通に又四郎と闘いたいだけだよ!」
「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ。」
未来と乙女は声を合わせた。
「沖田コクる気だよ。又四郎君に勝って、遙にコクる気だよ!」
乙女は確信した。
『キャア〜っ!!』
今度はカナも加わり、3人は声を合わせた。
遙は真っ赤になってうつ向いているのだった・・・。