この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
チャイムを切っ掛けに、沖田は素早く間合いを詰める。
間合いを一気に詰めた沖田の閃光の如き左切り上げ。
又四郎は竹刀で防ぐだけで精一杯だった。
そして気合いと共に、両手三段突きが、拳銃のように又四郎を襲う。
ズバババッ!!
拳銃のような突きの最後の一撃は、又四郎でも避けようがなかった。
パチン!!
又四郎の竹刀から、音が弾け飛んだ。
又四郎の竹刀が砕け散った。
沖田の突きが又四郎のミゾオチにめり込む。
「ぐふっ・・・。」
バタッ・・・。
沖田が先にステージの床に倒れ伏した。
続いて又四郎が、床に膝を着く。
何が起きたのか、誰の目にも分からなかった。
ただ、沖田が気絶し倒れている。
「・・・。す、すまん誰か沖田を介抱してやってくれぬか・・・。」
又四郎が絞り出すように言う。
平賀達がすぐさまステージに表れ、沖田を抱き抱えた。
教師達も慌ててステージに上がり、沖田を保健室に運ぶ手伝いを始める。
遙は又四郎に駆け寄った。
「ま、又四郎・・・。一体何が在ったの?」
「う、うむ・・・。
必死で撃ち込まざる得なかった・・・。
強敵であった・・・。」
又四郎は腹部を抑え、痛みに顔を歪めた。
ブハッ・・・。
又四郎が突然、吐血する。
「又四郎!?」
遙が叫ぶと同時に、又四郎も気を失った。
講堂は異様な空気を漂わせていたが、やがて拍手が一つ、また一つと起き始めた。
それが大きなうねりに変わり講堂全体を呑み込む。
轟く様な拍手と歓声はずっと鳴り止まなかった。
司会の生徒が慌てて、
「す、素晴らしいステージでした!剣道同好会の演武でした。」
と、なし崩し的に締め括った。
観客は鬼気迫るステージの演出だと完全に思い込んでいた。
又四郎と沖田は、互いにカーテン越しに保健室のベッドで横になっていた。
「う、う〜ん・・・。」
「沖田、気が付いたか?」
「あ、あれ・・・。ここは?何で保健室に・・・。い、痛たたた・・・。」
「動かぬ方が良い。恐らく肩の筋か骨がいっただろう。」
「ああ、いつつ・・・。肩が上がらないよ・・・。」
「沖田。お主の三段突き。あれは凄まじい攻撃だった。辛うじて肩に打撃を入れて、突きの威力を抑えたが、ほぼ同時だったようだ・・・。」
「刀だったらお互いに死んでいたな・・・。」
「う〜ん、俺的に勝ったと思ったんだけどな・・・。」
沖田は痛みに耐え、声を絞り出した。
沖田が繰り出した三段目の突きを、又四郎は敢えて間合いを詰めて近付いた。
間合いを詰めて最大で受ける突きの威力を削り、沖田の肩目掛けて右袈裟斬りを決めた。
その一瞬の判断と速さで、強烈な一撃を繰り出したのだった。
この判断力は、もはや場数以外に無い。
実力が拮抗する相手であればある程、殺し合いに身を置いた者が勝つ。
それが勝敗の分かれ目になり、生死の境目なのだった。
又四郎の竹刀が弾け飛ぶ程の打撃は、沖田の肉を切らして骨を断ったのだった。
腹部に受けた突きは、致命傷にはならずとも、かなりの深傷になる。
又四郎が言うように、真剣で闘ったなら、互いに絶命は必死だった。
「又四郎、遙君には言ったのかい?」
「いや、わしもお主も、お互いそれ所では無かったからな・・・。」
「そうか・・・。残念だけど勝負はお預けかな・・・。」
「その様だな、沖田。」
又四郎のベッドに、遙はもたれ掛かってスヤスヤと眠っていた。
涙の跡が残る遙の可愛い顔に、又四郎はそっと手を伸ばし残った涙を拭う。
カーテン越しに寝ている沖田には悪いが、暫くこの寝顔を独り占めしようと思った。
間合いを一気に詰めた沖田の閃光の如き左切り上げ。
又四郎は竹刀で防ぐだけで精一杯だった。
そして気合いと共に、両手三段突きが、拳銃のように又四郎を襲う。
ズバババッ!!
拳銃のような突きの最後の一撃は、又四郎でも避けようがなかった。
パチン!!
又四郎の竹刀から、音が弾け飛んだ。
又四郎の竹刀が砕け散った。
沖田の突きが又四郎のミゾオチにめり込む。
「ぐふっ・・・。」
バタッ・・・。
沖田が先にステージの床に倒れ伏した。
続いて又四郎が、床に膝を着く。
何が起きたのか、誰の目にも分からなかった。
ただ、沖田が気絶し倒れている。
「・・・。す、すまん誰か沖田を介抱してやってくれぬか・・・。」
又四郎が絞り出すように言う。
平賀達がすぐさまステージに表れ、沖田を抱き抱えた。
教師達も慌ててステージに上がり、沖田を保健室に運ぶ手伝いを始める。
遙は又四郎に駆け寄った。
「ま、又四郎・・・。一体何が在ったの?」
「う、うむ・・・。
必死で撃ち込まざる得なかった・・・。
強敵であった・・・。」
又四郎は腹部を抑え、痛みに顔を歪めた。
ブハッ・・・。
又四郎が突然、吐血する。
「又四郎!?」
遙が叫ぶと同時に、又四郎も気を失った。
講堂は異様な空気を漂わせていたが、やがて拍手が一つ、また一つと起き始めた。
それが大きなうねりに変わり講堂全体を呑み込む。
轟く様な拍手と歓声はずっと鳴り止まなかった。
司会の生徒が慌てて、
「す、素晴らしいステージでした!剣道同好会の演武でした。」
と、なし崩し的に締め括った。
観客は鬼気迫るステージの演出だと完全に思い込んでいた。
又四郎と沖田は、互いにカーテン越しに保健室のベッドで横になっていた。
「う、う〜ん・・・。」
「沖田、気が付いたか?」
「あ、あれ・・・。ここは?何で保健室に・・・。い、痛たたた・・・。」
「動かぬ方が良い。恐らく肩の筋か骨がいっただろう。」
「ああ、いつつ・・・。肩が上がらないよ・・・。」
「沖田。お主の三段突き。あれは凄まじい攻撃だった。辛うじて肩に打撃を入れて、突きの威力を抑えたが、ほぼ同時だったようだ・・・。」
「刀だったらお互いに死んでいたな・・・。」
「う〜ん、俺的に勝ったと思ったんだけどな・・・。」
沖田は痛みに耐え、声を絞り出した。
沖田が繰り出した三段目の突きを、又四郎は敢えて間合いを詰めて近付いた。
間合いを詰めて最大で受ける突きの威力を削り、沖田の肩目掛けて右袈裟斬りを決めた。
その一瞬の判断と速さで、強烈な一撃を繰り出したのだった。
この判断力は、もはや場数以外に無い。
実力が拮抗する相手であればある程、殺し合いに身を置いた者が勝つ。
それが勝敗の分かれ目になり、生死の境目なのだった。
又四郎の竹刀が弾け飛ぶ程の打撃は、沖田の肉を切らして骨を断ったのだった。
腹部に受けた突きは、致命傷にはならずとも、かなりの深傷になる。
又四郎が言うように、真剣で闘ったなら、互いに絶命は必死だった。
「又四郎、遙君には言ったのかい?」
「いや、わしもお主も、お互いそれ所では無かったからな・・・。」
「そうか・・・。残念だけど勝負はお預けかな・・・。」
「その様だな、沖田。」
又四郎のベッドに、遙はもたれ掛かってスヤスヤと眠っていた。
涙の跡が残る遙の可愛い顔に、又四郎はそっと手を伸ばし残った涙を拭う。
カーテン越しに寝ている沖田には悪いが、暫くこの寝顔を独り占めしようと思った。