この時代に剣客が現れて剣道部に入ってしまったよ。
ねぇ、又四郎。
生まれ変わりって信じる?
何だ突然。
私は信じる。
・・・。
ならわしも信じよう。
ふふふ。素直ね、又四郎・・・。
何とも意味深げな問いだな。
又四郎・・・。
ずっとあなたが好きでした・・・。
な、何だ急に・・・。
又四郎、もしも生まれ変わったら、私に好きって言ってくれる?
そ、それは・・・。
わ、解らぬ・・・。
・・・。
そうかぁ・・・。
じゃあ、もしも生まれ変わって、今と同じ15歳に成ったら、答えを聞かせてね。
又四郎・・・。
ふふふふ・・・。
いささか強引で、回りくどいではないか、ハル殿。
今に成って、訳の解らぬ地獄の様な場所で・・・。
子供の時と変わらないままの姿で・・・。
「遙」と言う同じような名前で産まれて・・・。
そう言えば、ハル殿の父上も生まれ変わって居たのだな・・・。
あの小野忠明殿の一刀流。
正元先生そのままだった。
なあ、ハル殿。
わしはちゃんと言えたのか・・・。
気持ちは伝わったのか・・・。
わしの本当の気持ちは・・・。
15歳の若造に成ってまで
ようやく会えたそなたに
あの日、言えなかった言葉を、きちんと言えたのかな・・・。
うむ・・・。
意識が朧気なのだ・・・。
今度こそ、死んだのだな・・・。
今死んだのなら、もう思い残す事も無い・・・。
さて、今度はどんな場所に出ていくのやら・・・。
少し楽しみだ・・・。
又四郎の意識が時空を漂い、やがて急激に加速した。
物凄いスピードで、眩い光の回廊を駈ける。